樹皮において、セシウム吸収やイオン交換反応が存在することをこれまでに実験的に明らかにしてきた。そこで本研究では、スギとコナラに焦点をあて、陽イオンの樹皮吸収とプロトン放出との関係解明を目的とした。二重構造の容器を用いて、樹皮片を介して蒸留水と各種イオン溶液を接触させて、イオン輸送やプロトン溶出を調べる実験を行った結果、以下のことが明らかになった;①Na、K、Caが樹皮を介して移動すること、②Caは移動の途中で細胞壁に吸着すること、③Kは両樹種で溶脱しやすい、④プロトンと陽イオンのイオン交換反応は外樹皮で起こること、⑤陽イオン輸送の対イオンが存在し、本実験ではClイオンである。
|