研究課題/領域番号 |
16K14942
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
益田 岳 順天堂大学, 国際教養学部, 特任研究員 (00455916)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ドローンによる身体拡張 / 新型蚊トラップ / ベトナム / マラリア / サル / 人畜共通感染症 / サーモグラフィー / サンプリング自動化 |
研究実績の概要 |
1 照明波長決定:An.Dirus蚊で行動観察と生体電気測定にて反応試験を行い、最適な照明波長を決定する件については、長崎大学でのAn.Dirus飼育が継続できない状態が起きたため、この蚊の卵を譲り受けていたベトナム国立マラリア学等研究所での実験に切り替え、H29年5月に実施予定である。 2 クレーン付きロボットハンドについてはロボットハンド部分とクレーン部分を作成した。夜間低空飛行安定装置についてはレーザーメッシュビームによる障害物距離検知を実験した。gps支援による自動航法機能については実装先の実機を製作している。 3 霊長類研究所マイク・ハフマン准教授(研究協力者)の協力のもと、共同研究として犬山のサル放飼群について、ドローンにつんだサーモグラフィによるサルの位置情報付き睡眠場所調査方法の実験を行い、良好な結果を得た。 4 調査地での実戦投入については、調査に協力を得ているベトナム・カンフー省は調査協力先研究所が整理統合で消滅したため、代わりにビンフック省国立公園の山間部で雨季(11月)の調査に投入しようと現地航空局および軍、保健省出先機関などと調整した。結果、現地は国境地帯のため国軍が駐屯しており安全保障上の理由からドローンの飛行が認められないことが判明したため、ベトナムでは新型トラップの実地試験を行った。飛行型トラップについては国内西表島での実験を行い、引き網式による飛行試験において良好な結果と知見を得た。 5 ベトナム調査中に得られた蚊サンプルの分析は藤田保健衛生大学医学部の前野准教授(研究協力者)の元、原虫保有や殺虫剤耐性の有無等を検討し、論文を作成、IF=3の国際英語ジャーナルにアクセプトされた。 6 研究成果発表については、上記論文アクセプトのほか、国立マラリア学研究所にて安価な新型トラップの製作方法を講演し、意見交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蚊を継代飼育しているインセクタリウムの体制において、実験室内での混濁事故があったため、当初国内で2年ほどラボ化を行ってきたAn.Dirus(東南アジア森林部の主要なマラリア媒介蚊)の使用ができなくなった。この対策として、国内でのこのマラリア蚊の卵を譲り受けていたベトナム国立マラリア学等研究所での実験に切り替え、再調整を行った。実験はH29年5月に実施予定である。 国内の研究所での飛行を伴う実験は、実施の事前調整に半年を要した。国土交通省、管制、自衛隊基地、警察、消防との密接な連携のもと、ようやく飛行体制が整い、犬山のサル放飼群において、日中および夜間の飛行試験を行うことができ、関連する手続き上のノウハウを得ることができた。 事前に予定していたベトナム・カンフー省での実験が、調査協力先研究所が整理統合で消滅したためできなくなった。その代わりにビンフック省国立公園の山間部での調整に奔走し、航空局および軍、保健省出先機関などと調整したが、現地安全保障上の理由からドローンの飛行が認められないことが判明したため、ベトナムでは新型トラップの実地試験を行った。過去に例をみない数のAn.Dirusを新型トラップで捕ることができた。飛行型トラップについてはベトナムのかわりに国内西表島での実験を行い、引き網式による飛行試験において良好な結果と知見を得た。 ベトナム調査中に得られた蚊サンプルの分析は藤田保健衛生大学医学部の前野准教授(研究協力者)の元、原虫保有や殺虫剤耐性の有無等を検討し、論文を作成、IF=3の国際英語ジャーナルにアクセプトされた。 研究成果発表については、上記論文アクセプトのほか、国立マラリア学研究所にて安価な新型トラップの製作方法を講演し、意見交換した。
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今後の研究の推進方策 |
照明波長決定試験については、予備実験において、休息時の蚊への光刺激による反応が鈍いことから、刺激を照明だけに限らずターゲット蚊の生理でもっとも反応が強い(吸血行動に結びつく)、二酸化炭素を含むガスの濃度勾配反応にもついても試験できるよう、整えている。
より研究成果の広範な活用がはかられるように、この2年ほどで大きく進展したドローンの小型化、自動制御の高度化にも対応できる研究内容となるよう、柔軟に調整しながらすすめている。
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次年度使用額が生じた理由 |
実際には不足分が生じたが基金運用のおかげで次年度にまわすことができ、結果、端数として残余が生じたため
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次年度使用額の使用計画 |
次年度においても前年度不足分の早期計上、早期執行とあいまって、計画的に使用します。
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