目に見える年輪を形成しない熱帯の樹木でも、材の構成成分である酸素の安定同位体比を半径方向に測定すると、年輪に相当する周期的な変化が見られることを確認した。この周期的な変化には、樹木が光合成に用いる水、つまり雨水の酸素同位体比が影響を及ぼしていることが確認された。同じ熱帯でも、雨季乾季のある季節熱帯では酸素同位体比の季節変化も明瞭だが、湿潤な熱帯では雨の酸素同位体比の季節変化が不明瞭で、材の酸素同位体比の変動幅も小さかった。 材の酸素同位体比の変動幅は個体内では同調しているが、個体間ではばらつきがあった。同じ場所の異なる樹種では周期的変動は認められるものの、そのパターンには違いがあった。
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