研究課題
Inoue and Nishizono(2015; Eur J For Res)によって提案した「樹幹表面積の保存則」について,さらに詳細に検討するために,いくつかの研究を行った。まず,モウソウチクを対象として,稈表面積の計測方法について検討した。まず,fine resolution analysisにより詳細に稈形を測定し,その結果から稈表面積を算出した。次いで,稈を高さ方向に2等分,5等分,10等分および20等分した位置における稈直径を求め,区分求積法によって表面積を求めた。そして,稈高と胸高直径あるいは地際直径をもとに,稈を円錐形と仮定することで,表面積を推定した。さらに,これらの結果を比較することで,稈表面積の計測に最適な方法について検討した。その結果,稈を高さ方向に10等分した位置における直径を測定し,区分求積法によって表面積を求めることが最適であると判断できた。この成果については,Ecological Researchに投稿し,平成29年3月31日に受理された。次いで,樹幹表面積の保存則をもとに,新しい密度指標を開発した。この指標と従来からの密度指標である収量比数とを比較した。その結果,新しい密度指標は収量比数と同様,理論的に0から1の値をとる一方で,その範囲については新しい密度指標の方が広かった。このことから,新しい指標の方が,収量比数に比べて密度の変化に対し,敏感な指標であることが示唆された。また,これらの指標間の関係は,指数曲線によって上手く表現できるものの,その係数は地域や樹種によって若干異なることがわかった。この成果については,現在,論文化の作業を進めているところである。
3: やや遅れている
平成28年4月に発生した熊本地震の影響のため。
平成28年度の熊本地震による研究の遅れを取り戻すため,平成29年度においては,既存のデータをさらに有効活用することで,研究の目標を達成するように努める。
平成28年4月に発生した熊本地震の影響により,研究を十分に進捗させることができなかったため。
調査ならびに学会発表を積極的に行うとともに,調査に際し必要となる消耗品を購入することを計画している。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件)
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