研究課題
Inoue and Nishizono(2015; Eur J For Res)によって提案した「樹幹表面積の保存則」について,さらに詳細に検討するために,昨年度に引き続き,いくつかの研究を行った。まず,樹幹表面積の保存則をもとに開発した新しい林分密度指標について,さらに研究を進めた。昨年度の研究では,新しい指標と収量比数との関係を解析し,新しい指標の方が広い範囲を示すとともに,これらの指標の関係が指数式によって近似できることを示した。これに引き続き,本年度においては,新しい指標と相対幹距ならびにStand density index(SDI)との関係を解析した。その結果,収量比数と同様の結果が得られ,新しい密度指標の有用性を示すことに成功した。次いで,樹幹表面積の回帰モデルに関する理解を深めるために,マダケ属3種(モウソウチク,マダケおよびハチク)を対象として,Inoue(2004; J For Res)と同様の方法により,稈表面積と他の稈指標(胸高直径や稈高)との関係を解析した。その結果,マダケとハチクについては,種間,地域間で回帰モデルを区別する必要がない一方,モウソウチクについては稈の細りと形状比の変異のため,他の2種とは異なるモデルが必要と考えられた。また,推定のための変数としては,胸高直径と稈高の積よりも,むしろ胸高直径のみの方が有用であろうことが示唆された。さらに,現在,世界中で収集された伐倒木データと樹幹解析データをもとに,樹幹表面積を推定するための回帰モデルについてメタ解析を行っているところである。
3: やや遅れている
平成28年4月に発生した熊本地震の影響のため。
平成28年度の熊本地震による研究の遅れを,平成29年度だけでは取り戻すことができなかった。平成30年度においては,既存のデータをさらに有効活用することで,研究の目標を達成するように努める。
平成28年4月に発生した熊本地震の影響により,研究を十分に進捗させることができず,平成29年度だけでは,その遅れを取り戻すことができなかった。平成30年度においては,森林調査ならびに学会発表を積極的に行うことを計画している。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 1件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
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