研究実績の概要 |
底生珪藻や浮遊珪藻と赤潮渦鞭毛藻Karenia mikimotoiの共培養実験を行った。強度1/10のSWM-3培地にK. mikimotoi(1000細胞/mL),無菌の珪藻(2000細胞/mL)を添加し,温度20度,光強度約50μmol photons/m2/s,明暗周期14hL:10hDの条件下で14日間培養した。その結果,底生珪藻Nitzschia sp.1はK. mikimotoiの増殖を顕著に阻害した。浮遊珪藻(Chaetoceros curvisetus,Asterionellopsis glacialis)との実験では,珪藻密度が1万-10万細胞/mLに達した後にK. mikimotoiは減少したが,N. longissimaやNitzschia sp.2との実験では減少しなかった。以上から底生珪藻類の中にK. mikimotiの増殖を阻害する種の存在する事が判明した。 K. mikimotoiとそれを捕食する繊毛虫Pleuronema sp.の培養実験を行った。細胞密度100, 1000, 10000細胞/mLのK. mikimotoiに,0, 10, 100細胞/mLのPleuronema sp.を各々添加し,様々な組合せを設けた。K. mikimotoi 10000細胞/mLの実験区でのみ,開始4日目以降K. mikimotoi密度が著しく減少した。現場では1000細胞/mLでも捕食されており,砂泥の存在が繊毛虫による捕食を効率良くしていると考えられた。 広島県福山市の田尻港に水深約2mのメソコズムを設け,海底泥を入れて植物プランクトンの変化と環境要因をモニターした。メソコズム内では珪藻類が増殖したが,水深約5mの外では海底が無酸素化して泥中の珪藻が消失し,日周鉛直移動で栄養を得るラフィド藻Chattonella antiquaの赤潮が発生した。
|