SIMS分析に適した試料を作製する前処理技術を検討した結果、サイズの異なるダイアモンド粒子を用いた三段階研磨を施すことにより試料表面を平滑に保ったまま核を露出することに成功した。確立した前処理技術を用いて作製した試料(計5個)の耳石核から縁辺部までのδ18OをSIMSにより測定した結果、第一年輪周辺部(最初の冬を迎える時期)において1‰以上 (PDB)のδ18O値の増加が認められた。これは、実際に個体が経験した水温を反映していると考えられる。本研究で確立された試料作製前処理技術は、SIMS分析のデータの質を確保していることが実証された。
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