研究課題/領域番号 |
16K14978
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
澤辺 智雄 北海道大学, 水産科学研究院, 教授 (30241376)
|
研究分担者 |
美野 さやか 北海道大学, 水産科学研究院, 助教 (00755663)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 再生可能エネルギー / 海洋微生物 / 水産学 / バイオマス / 生物触媒 |
研究実績の概要 |
陸上バイオマスや淡水に依存しないバイオ燃料の生産に向け,海洋バイオマスの燃料変換技術の基盤強化が必要である。多彩な糖質で構成される海洋バイオマスの効率的利用に適応可能な複数基質の糖化と発酵を統合(一貫バイオプロセス(CBP)化)した生物触媒の開発は理想的であるため,本課題では,海洋バイオマス(大型海藻や微細藻)を構成する糖質であるグルカン・ガラクタン・ポリウロン酸・糖アルコールを同時に分解・利用・物質変換する「複数の基質利用系を有するCBP生物触媒」の開発を目的にした。本年度は,カラゲナン分解性を有するPseudoalteromonasなどの個別海洋細菌ゲノム情報に基づき海藻多糖の分解能やそれらの利用能の実験的評価とゲノム情報比較およびアルギン酸分解利用性の高くほぼ完全な環状化ゲノム塩基配列が利用可能なV. halioticoliをmsCBP化するため「グルカン」の利用能を付与した生物触媒の開発を目指した。前者では,Pseudoalteromonasを含む7種の海洋細菌のドラフトゲノムを得た。その比較解析の折,予期せぬ成果として,ビブリオ科の新属と同定される2種の株を見いだし,一方はN-アセチルグルコサミン利用が可能であった。また,V. halioticoliはデンプン分解能を有していないものの,本菌のゲノム解析により,デンプン利用性遺伝子セットの存在が明らかになった。他の種のビブリオが有するアミラーゼ遺伝子をV.halioticoliに導入することに成功し,増殖およびエタノール生産性が向上した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海洋細菌のゲノム解析を進展させ海洋微生物遺伝子情報を蓄積している。さらに,アルギン酸資化性を有するV. halioticoliにデンプン分解能を付与さえることに成功し,mCBP化は進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
デンプン・セロビオース・ガラクトース利用・発酵能を有するV. ishigakensisなど,その他の海洋細菌のmsCBP化を進める。特に,V. ishigakensisは当研究室で新種としてアルギン酸・糖アルコール・デンプン・ガラクトース利用能を有する。本年度は,本菌のガラクトースなどのからのバイオ燃料生産性を明らかにし,複数の基質共存下における基質競合に関する情報を得る。また,様々な基質利用可能な代謝改変株の作製を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に,遺伝子組換え実験等をより多く実施するため,経費を持ち越すこととした。
|
次年度使用額の使用計画 |
物件費に使用する。
|