ゲノム編集機能を装備したベクターシステムとして、guide RNA(gRNA)発現用プロモーターとして、ゼブラフィッシュ由来U6プロモーターをゲノムDNAからクローニングした。さらに、Cas9遺伝子の発現には研究室所有のゼブラフィッシュ由来EF-1α(zef1alpha:pZef)プロモーターを用いた。さらに、マイクロインジェクション後の遺伝子発現を確認するために、Cas9タンパク質の下流に2Aペプチドコード領域を挟んで蛍光タンパク質(EGFP)遺伝子を配置した。また、今回標的としたVtg1遺伝子内の3箇所のゲノム領域にsgRNAを設計した。構築したゲノム編集用ベクターをインジェクション後、EGFPの発現が確認された24hpf胚において、3箇所のgRNAはU6プロモーターの存在下でそれぞれ発現していた。一方、ウェスタンブロットの結果から、およそ150kDaの位置にCas9タンパク質が確認された。以上の結果、当初の目的通りのゲノム編集用ベクターを構築することができた。 次に、Vtg1遺伝子内の3箇所のゲノム領域においてゲノム編集が起こったかどうかをサンガー法による塩基配列解析を行ったところ、1塩基置換は確認されたが塩基の欠失や挿入は確認されなかった。以上の結果から、今後はCas9タンパク質の発現時期や合成量、その活性について検討する予定である。 最後に、ゼブラフィッシュにおけるRosa26様ゲノム領域の検索を行った。その結果、ノンコーディングRNAをコードする候補領域を見つけることができた。今後は、このRosa26様ゲノム領域に標的遺伝子をゲノム編集することで、さまざまな臓器・組織から標的遺伝子産物を定量することで標的タンパク質の増産につなげたい。
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