研究課題/領域番号 |
16K14989
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
高橋 明義 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (10183849)
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研究分担者 |
水澤 寛太 北里大学, 海洋生命科学部, 准教授 (70458743)
阿見彌 典子 北里大学, 海洋生命科学部, 講師 (20588503)
安東 宏徳 新潟大学, 自然科学系, 教授 (60221743)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ニジマス / 下垂体 / メラニン凝集ホルモン / 成長ホルモン / ソマトラクチン / 背地色 |
研究実績の概要 |
[目的]2017年度にメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体遺伝子の発現をニジマス下垂体前葉に認めたことから,MCHが直接的にGHの発現を制御することを想定した。そこで,in vivoとin vitroでGH遺伝子発現に対するMCHの効果を調べた(実験1)。一方,2016年度のGH遺伝子発現と背地色の関係の研究ではニジマスを循環水(200L水槽)で飼育した。今回は流水(350L水槽)で飼育し再現性の確認を試みた。 【方法】(実験1)ニジマス腹腔内にMCHを投与し,黒背地水槽での飼育を行った(1~5日間)。また、ニジマス下垂体をMCH存在下で3日間培養した。これらの下垂体からRNAを抽出し、GH mRNAを定量した。(実験2)黒、濃灰、薄灰、白、および青の背地色においてニジマスを59日間飼育した。その後、定量RT-PCRによって下垂体のGHファミリー遺伝子(GH, プロラクチン(PRL)およびソマトラクチン(SL))の発現量を定量した。 【結果】(実験1)MCHの腹腔内による下垂体GH mRNA含量の変動は認められなかった。一方,in vitroでは下垂体GH mRNA含量に0.01 μM MCH で減少傾向がみとめられ,0.1 μM MCHでは有意に減少した。10 μM MCH区での含量は対照区と同様であった。従ってMCHがGH遺伝子の発現を抑制する可能性がある。(実験2)ニジマスの体色は背地色の明度に応じて変化した。下垂体におけるGH遺伝子とPRL遺伝子の発現に背地色に対応する変動は認められなかった。しかし黒背地でのSL遺伝子の発現は白背地よりも高く,濃灰と薄灰ではその中間であった。青背地では白背地と同様であった。遺伝子発現が背地色と明らかに連動するのはSLであることが判明した。GH遺伝子発現に対する背地色およびMCHの効果についてはさらに検討を進める必要がある。
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