研究課題
近年,世界の国々で食の安全への関心が高まっている.東北大学では,より安全な食品を供給するため,生物が本来持つ免疫機能(農免疫)の活用に向けた研究が進められている.本研究では,開発された「農免疫」技術の社会実装に向けて,新技術の消費者・生産者への普及方法と,市場構造におよぼす影響を明らかにする.これにより,農畜水産物等の健全育成とフードセーフティーシステムの創出を目指す.まず,生産者・消費者の分析を行うための準備として,自然科学系の研究協力者との議論や文献調査に基づき,分析対象とする農免疫技術の候補を決定した.対象とした技術は,乳酸菌の活用により薬剤投与や遺伝子操作を行わずに生産した豚肉(以下,「乳酸菌豚肉」)である.また,安全や健康に配慮した食品の市場動向について文献データにより把握し,消費者選好分析に反映させた.web調査を利用し,通常の生産方法と比較した際の,この豚肉に対する消費者選択実験を実施し,条件付きロジットモデルによる分析を行った.その分析結果については,国際シンポジウムで報告するとともに,論文に取りまとめて投稿し,掲載された.次に,追加の消費者調査として,牛乳の安全性に対する意識とブランド等表示の関係についてのweb調査(サンプル数400)を行い,条件付きロジットモデルによる分析を行った.その結果についても,国際学会で報告するとともに,論文に取りまとめて投稿し,掲載が決定した.さらに,生産者調査を行った.当初は東北地域の農漁村を想定していたが,先に調査協力を得ることができた北陸地域の農漁村に対する調査を行った.この調査は対象としての適切性を判断するための聞き取り調査であった.その結果,将来の新技術に関する生産者の意識は漠然としていることがわかり,詳細な生産者調査を行うためには,質問表及び対象地域の検討が必要であることがわかった.
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Journal of Rural Society and Economics
巻: 36(2) ページ: 1-8
6th International Conference Proceeding of ARSA held in Macassar, Indonesia
巻: 6 ページ: in printing