本研究の目的は、消費者の多様な選択ルールの背景にある環境倫理的な価値基準が食品購買行動に与える影響について、環境倫理学、社会心理学などの知見を明示的に取り入れた定量的な分析枠組みの構築を試み、消費者への情報提供の在り方に示唆を与えることにある。 環境倫理学において論点とされることが多い「世代間衡平問題」「南北開発問題」「自然保護問題」に焦点を当て、その影響を選択確率モデルとして検討した。世代間衡平問題において受益者不在論に反対する被験者、功利主義的な将来世代の苦痛最小化に賛成する被験者、南北開発問題について費用最小化問題に反対する被験者は有機認証表示に対して肯定的評価を与えていることが示された。
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