低平排水不良地域の農業用排水は,鋼矢板材を用いた水路形式が一般的である。鋼矢板材とは,金属製の土止め壁であり,重機による建設工事が困難な水田地域に代表される軟弱かつ過湿な湿地帯において多用されてきた。しかし,既存施設では建設後20年程度で金属腐食が顕在化し,孔食に伴う耐久性能の低下が顕在化する問題が近年明らかになっている。 本研究では,既存施設の実態を考慮したコンクリートパネルを独自開発し,鋼矢板‐コンクリート複合材の構築に基づく腐食鋼矢板水路の保全と再生を目的とした補修工法の開発を試みる。研究期間は平成28年度から29年度の2カ年間であり,試験施工結果を踏まえた「新たな水路再生工法」を提案する。 平成29年度は,平成28年度に構築した実環境での鋼矢板‐コンクリート複合構造に関する実証的検証を試みた。関連業績は論文1件および口頭発表3件を公表した。
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