研究課題/領域番号 |
16K15008
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
河端 俊典 神戸大学, 農学研究科, 教授 (20335425)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ため池 / ベントナイト系遮水シート / 圧密試験 / 透水係数 / 一面せん断試験 / 耐震性 / 振動実験 |
研究実績の概要 |
ため池堤体の改修において,堤体上流側に遮水材料としてベントナイト系遮水シートを用いた場合の力学特性を検討するため,遮水膨潤性シートの圧密試験ならびに一面せん断試験を実施した。各試験では,遮水シート敷設中の降雨で覆土前にシートが浸潤することが考えられるため,浸潤課程を変えた2種類の条件で実施した。圧密試験の結果から,載荷圧の増加、すなわち覆土厚の増加にともない,透水係数が低下し,遮水性能が向上することが明らかになった。また,覆土前にシートが浸潤した場合,遮水性能が低下することが明らかになった。 さらに,6・7号混合硅砂と膨潤性遮水シートとの一面せん断試験から,浸潤状態でのシートと砂のせん断強さは乾燥状態でのそれよりも小さいことが分かった。また,試験後のシート表面の観察結果から,浸潤状態のシートにおいて表面からのベントナイトの滲み出しが明らかになった。さらに,実際のため池覆土相当の低応力条件下では,浸潤による強度低下の影響は極めて小さいことがわかった。 また,上記の要素試験に加え,小型振動台を用いた振動実験に関して,堤体材料の選定や堤体の作製方法の検討ならびに均一型堤体を対象とした予備実験を実施した。堤体材料として,カオリンと6・7混合硅砂の質量比1:4の混合土を作製し,締固め試験ならびに透水試験を実施した。 さらに予備震動実験結果を基に,均一型堤体の動的挙動を検討し,今後の震動実験における各種実験条件について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度の当初計画で掲げた遮水シートの膨潤特性ならびに力学特性を検討するための要素試験については,平成28年度中に概ね実施することができた。また,平成29年度に当初計画で掲げていた小型振動実験については,準備ならびに予備実験を平成28年度中に実施した。したがって,現在の状況は概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に得られた膨潤試験など新規性の高い新たな知見を多く含む要素試験結果をとりまとめ,学会発表ならびに学術雑誌へ投稿する予定である。なお,要素試験は1種類のベントナイト系遮水シートを対象に実施したが,H29年度は構造特性に異なる他の膨潤性シートについても検討を行う予定である。 また,小型振動実験に関しては,シートの敷設パターンやシートの摩擦特性などを変更した各種条件で実施し,これらの基本的な条件が堤体の耐震性に与える影響について検討する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に実施したベントナイト系遮水シートの圧密試験および一面せん断試験から,シートの力学特性は浸潤条件に大きな影響を受けることが明らかとなった.そこで,当初予定していた平面ひずみ圧縮試験から含水状態を変えた一面せん断試験の実施に変更した.このことにより,平面ひずみ圧縮試験に関する費用分が減少した.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は神戸大学工学部で小型振動実験を実施する予定であったが,予算的に実験土槽を新規製作することができないため,さらに小型の香川高専所有の振動台を使用する予定である.平成28年度の未使用分については,当実験の出張旅費などに充当する予定である.
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