根域への赤色(630nm)または青色(470nm)LED光照射が、トウモロコシとモンステラの根および地上部の生育に及ぼす影響を検討した。トウモロコシは、ガラス水槽(300mm×300mm×300mm)中央部でのPPFDを50μmol/m2/sまたは100μmol/m2/sの根域への赤色光照射で、モンステラは100μmol/m2/sの赤色光照射で、非照射および青色光照射よりも根と地上部の生育が優れ、根系形態形成に関連する成分含量が高く、根端の細胞長も長くなった。 根域の光環境については、その有用性が現在まで検討されてこなかったが、根域の光環境を制御することで、根系の発達だけではなく地上部生育にも影響を及ぼすことが明らかとなった。根域への光照射が、トウモロコシとモンステラの根系発達および地上部形態に及ぼす影響には、波長および光強度が関係していることが判った。また、本実験で供試したトウモロコシは“ひげ根型根系”、モンステラは“不定根型根系”を形成するので、根系形態の違いが影響しているとも考えられることから、今後は他の根系形態を有する植物種についても検討が必要である。特に、側根形成および側根伸長の生理機構について未だ解明されていない点が多いため、植物ホルモンの分析や遺伝子解析も含めた検討が必要である。 本実験により、根域への赤色光照射が非照射よりも根系を発達させ、地上部生育も促進することが認められたので、本技術は養液栽培における作物の生産性向上へ寄与する新たな技術であると期待される。
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