研究課題/領域番号 |
16K15019
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
吉澤 信 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 上級研究員 (10455371)
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研究分担者 |
横田 秀夫 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, チームリーダー (00261206)
竹本 智子 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 研究員 (00450403)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 牛脂肪 / 3次元画像処理 / 牛脂肪幾何解析 / 牛脂肪位相解析 / 計算食料科学 |
研究実績の概要 |
本年度は、牛肉試料選定及び脂肪生化学実験の調査、3次元計測の予備実験と条件の選定、3次元画像の可視化、3次元画像のノイズ除去法及び領域抽出法の検討、幾何特徴抽出法の調査を実施した。その結果、新しいノイズ除去計算法を考案し学術発表を実施した。 本研究では、実際の牛肉試料を破壊検査により3次元画像として計測する。牛脂肪の正確な幾何・位相情報処理のためには計測時に撮影される切りくずや凍結包埋剤等を除去する必要がある。我々は3次元スライス画像に対してノイズを除去する新しい計算法を提案した。我々の方法は、断面間にノイズの相関が無い知見を用いて、ノイズ画素を極値として特定し、幾何中央値へ置き換える。提案法は、切りくず等を除去し元の幾何・位相構造を復元する。他の既存法と比較して、隣接する3画素しか用いないため、非常に高速に大規模3次元画像に適用可能である。また、極値として検出されたノイズ画素しか処理しないため、ノイズ以外の箇所では元の画素が保存され、元データに近い結果を得られる。さらに、処理中の断面を挟む前後断面が同じ色の場合には、処理中の断面にどの様なノイズが撮影されていても、提案法が完全に幾何・位相構造を復元することを数学的に証明した。本研究成果により、理研シンポジウム光量子工学研究2016のベストポスター賞を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
牛肉試料の3次元計測条件の選定及び正確な領域抽出のためのノイズ除去計算法の考案に時間が必要だったため、実際の大規模な牛肉試料の購入・計測が遅れている。しかしながら、予備計測実験によるデータを用いて計測条件及び領域抽出計算までの計算フレームワークは実装しており、今後の研究実施には支障がない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、3次元画像からの牛脂肪領域抽出法の開発、大規模牛試料の購入・計測とその生化学実験、幾何・位相解析法の開発を実施する。領域抽出法は既にいくつかの方法を実装し、検討を行っている。また、生化学実験の外部業者と幾何・位相解析法は選定を行っている。大規模な試料の購入と計測には時間がかかるため、適切な実施時期を計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
牛肉試料の3次元計測条件の選定及び正確な領域抽出のためのノイズ除去計算法の考案に時間が必要だったため、実際の大規模な牛肉試料の購入と外部検査機関での生化学分析が遅れており、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
既に生化学実験の外部機関選定は終えており、大規模な牛肉試料購入のための準備を進めている。本研究補助金の大部分は試料購入費とその生化学実験費であり、次年度に適切に使用する予定である。
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