研究課題
ダニ媒介性脳炎ウイルスの野生型ウイルス及び、前年度の研究により同定された、神経突起への輸送に重要なゲノムRNA領域に変異・欠損を導入した組換えウイルスを用いて、ウイルス感染による神経細胞の神経突起における局所翻訳制御利用とその影響について比較解析をおこなった。A) 培養神経細胞における分子機序の解析:初代培養神経細胞や神経突起伸長モデル細胞(PC12細胞)を用いて、フラビウイルス感染による神経細胞の生理機能に与える影響について解析した所、5’非翻訳領域の変異により、ウイルスゲノムRNAの神経突起内の輸送が減少することが明らかになった。さらにウイルスが感染した細胞では、局所翻訳制御機構によって運ばれる宿主RNAの輸送が競合阻害しており、この競合阻害は5’非翻訳領域の変異により減少することが明らかになった。B) マウスモデルを用いた神経病態発現機序の解析:マウスモデルにおけるウイルス感染による影響を解析した所、5’非翻訳領域の変異により、ウイルス感染による死亡率には変化は認められなかったのにも関わらず、神経症状を示すマウスの割合が減少した。さらに神経症状の重篤度をスコア化し比較した所、変異ウイルスの方が有意に神経症状の重篤度は低かった。以上の2年間の成果から、ダニ媒介性脳炎ウイルスは神経細胞内において、5’非翻訳領域を介して、神経細胞の持つ局所翻訳制御機構に重要な因子と相互作用することにより、神経突起内を輸送され翻訳されることにより、局所でのウイルス複製が行うことが明らかとなった。さらにウイルスRNAによる局所翻訳制御機構により、本来運ばれる宿主RNAの輸送・翻訳が競合阻害されることも明らかになった。これらの点が、ウイルス感染による神経病態発現を促進しているものと考えられる。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (22件) (うち国際共著 3件、 査読あり 13件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (41件) (うち国際学会 3件、 招待講演 10件) 図書 (1件)
日本ウイルス学会北海道支部会報
巻: 49 ページ: 1-2
Biomed Res.
巻: 39 ページ: 27-38
10.2220/biomedres.39.27.
Nat Commun
巻: 9 ページ: 436
10.1038/s41467-018-02882-0.
Virus Res
巻: 249 ページ: 52-56
10.1016/j.virusres.2018.03.006.
病原微生物検出情報
巻: 39 ページ: 46-47
Ticks Tick Borne Dis
巻: in press ページ: in press
10.1016/j.ttbdis.2018.03.016.
獣医畜産新報
巻: 70 ページ: 429-432
感染・炎症・免疫
巻: 47 ページ: 80-81
獣医疫学雑誌
巻: 21 ページ: 1-2
日本医事新報
巻: 4877 ページ: 59
化学療法の領域
巻: 33 ページ: 1645-1651
ウイルス
巻: 67 ページ: 143-150
Emerg Microbes Infect
巻: 6 ページ: e82
10.1038/emi.2017.69.
巻: 38 ページ: 126
巻: 8 ページ: 103-111
10.1016/j.ttbdis.2016.10.005
J Virol Methods
巻: 240 ページ: 14-20
10.1016/j.jviromet.2016.11.006.
Dev Comp Immunol.
巻: 68 ページ: 98-107
10.1016/j.dci.2016.11.013.
PLoS Pathog
巻: 13 ページ: e1006475
10.1371/journal.ppat.1006475.
Viruses
巻: 9 ページ: 7
10.3390/v9070189.
Emerg Infect Dis
巻: 23 ページ: 1753-1754
10.3201/eid2310.170918.
J Virol
巻: 91 ページ: e01028-17
10.1128/JVI.01028-17
Proc Natl Acad Sci U S A.
巻: 114 ページ: 9960-9965
10.1073/pnas.1704454114.