研究課題/領域番号 |
16K15035
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
福本 晋也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (50376422)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ベクター / ヴェノム |
研究実績の概要 |
本研究はベクター媒介性感染症に着目し、天敵生物が持つ天然毒“ヴェノム”と病原体によるデリバリーシステムを用いた、新たなベクター防除論の開発と有効性評価を行おうとするものである。ベクターコントロールの主体である殺虫剤の使用は、様々な問題を抱えている。そこで本申請では、ベクターと病原体との間に存在する関係“宿主特異性”を利用することで、標的とするベクター生物種にのみ特異的に感染する病原体にヴェノムを導入し、標的とする生物種のみをコントロールする、既存の殺虫剤が抱える問題を克服し、全く新たな概念に基づくベクター媒介性感染症制御法の開発を目的とし、病原体ヴェノムデリバリーシステムの実現の是非について検証を行う。 メリチンを代表とするヴェノムについてハマダラカへの毒性評価を実施した。ハマダラカへの顕微鏡下でのインジェクション法によってヴェノムの投与実験を実施し、毒性の発現の有無について検証した。ヴェノム溶液を一定濃度に調整しハマダラカへ投与、致死率の測定によりスクリーニングしたところ、1週間で80%以上に至るものが確認された。また、マラリア原虫感染蚊にヴェノムを投与することによりマラリア原虫への毒性を評価したところ、本ヴェノムはマラリア原虫に対しても抑制的に働くことが示唆された。ヴェノム発現プロモーターの選定については、赤色蛍光蛋白レポーター発現マラリア原虫を用いたハマダラカ感染実験の結果、ハマダラカ体内でのマラリア原虫増殖プロセス後であり転写量の高さからサーカムスポロゾイト遺伝子のプロモーターが適していることが示唆された。ハマダラカへの毒性についてより高いヴェノムの同定が必要と考えられ、現在その選定を実施中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハマダラカへのヴェノム毒性について、高度致死性を示すもののスクリーニング容量で100%を示すものが確認できなかったため、さらにスクリーニングを実施する必要があるため。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に準拠し実施するが、ヴェノムのスクリーニングについてより詳細に実施する。研究計画到達に重要となる高いハマダラカ致死毒性かつ低抗原虫作用を持つ物質の同定に注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画実施に最適な物質の同定が出来なかったため、これに関連する実験が実施できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
新たなヴェノムの購入費用および同定後の関連実験実施のための試薬購入費用として充当予定。
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