細菌の必須病原因子である運動性の機構解明は、感染症対策技術の発展につながる。本研究では、スピロヘータ類が持つペリプラズムべん毛の動作機構を明らかにするため、スピロヘータのべん毛固定子で外べん毛細菌のべん毛を回転させるキメラ実験を試みた。サルモネラなどのべん毛回転子・繊維とスピロヘータ固定子から成るキメラべん毛を作製したところ、固定子は正常に発現し、細胞膜に挿入されているようだが、べん毛の回転は見られなかった。固定子組み込みに必須であるMotBのペプチドグリカン結合ドメインの置換も行ったが、べん毛回転は確認できなかった。イオンチャネルやトルク発生部位の改変が必要である可能性が示唆された。
|