研究課題
ワクモ(Dermanyssus gallinae)は、吸血による鶏の削痩や激しい貧血、産卵率の低下や汚卵の発生など養鶏業に大きな被害をもたらしており、さらに近年はその駆除に使用されている駆虫剤に耐性を持つワクモの出現や駆虫剤の残存による環境汚染が問題となっており、抗ワクモワクチンなどの新規防除法の確立が必要となっている。そこで本研究では、昨年度に続き、ワクモ中腸等に発現する非暴露型抗原の網羅的解析を行い、新規抗ワクモワクチン候補因子の探索を目指して研究を実施した。昨年度は、候補因子としてEpidermal Growth Factor Receptorの解析を実施したが、今年度は、さらに他の非暴露型抗原としての候補因子を我々の研究室で吸血ワクモより作成したワクモ発現配列タグライブラリーを用いて探索・同定した。その結果、非暴露型抗原の候補因子として、いくつかの因子を同定し、その中でも、その構造からワクモ中腸の細胞膜表面に発現していると考えられるAdipocyte Plasma Membrane-associated Protein (APMAP) の全長遺伝子のクローニングに成功した(全長1,212 bp)。そしてワクチンとしての効果を検討するため、ブレビバチルス発現系による組換えAPMAPの発現に成功した。今後、in vitro feeding assayによるワクチンとしての有用性を、ワクモの吸血阻止能を指標として、検討を検討すると同時に、ワクモ体内における発現部位の特定を行う予定である。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件)
Ticks and Tick-borne Diseases
巻: 9 ページ: 72-81
10.1016/j.ttbdis.2017.10.006.