研究課題
1)若齢肥育牛の地方病性牛白血病(EBL)発症における発がん関連遺伝子のエピジェネティックな変異の有無を検証するため、本年度はアポトーシス関連遺伝子であるDAPK1およびBMP-6に着目し、そのメチル化解析を行った。DAPK1プロモーター領域CpG-islandのメチル化割合はEBL牛では0.0~12.1%,非EBL牛では0.4~13.3%であり、両者に差が認められず、DAPK1のメチル化は若齢発症に関与しているとは考えられなかった。いっぽう、BMP-6プロモーター領域のCpG islandメチル化割合を解析したところ、EBL発症牛(5.4%)では健常牛(1.8%)より有意に高値を示した。また、飼養形態と年齢別に解析したところ、3歳齢未満肥育EBL牛8.5%、3歳齢未満乳用EBL牛3.2%、3歳齢以上乳用EBL牛1.8%、3歳齢未満肥育健常牛2.1%、3歳齢未満乳用健常牛0.0%および3歳齢以上乳用健常牛2.1%であり、3歳齢未満の肥育EBL牛はその他の牛に比べ有意にメチル化割合が高かった。BMP-6プロモーター領域の高メチル化は若齢肥育牛におけるEBL早期発症に関与する可能性が示唆された。2)BLVプロウイルスの組込部位の若齢EBL発症への関与を明らかにするため、3歳齢未満EBLと3歳以上EBLのBLVプロウイルス組込部位及び組込部位周辺の宿主遺伝子を解析した。3歳齢未満EBLでは特定の染色体やA/T含量の特徴はないが、プロモーター領域や転写活性を持つ領域への組込頻度が3歳齢以上EBLに比べ有意に高かった。転写に関わる領域へのBLVプロウイルスの組込が早期発症に関与する可能性が示唆された。
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Japanese Journal of Veterinary Research
巻: 66 ページ: 209-213