遺伝子組換え技術において、転写の効率化やmRNAの安定性を上げ、その組換えタンパクの発現量を高める方法として、コドン最適化技術が挙げられる。本研究ではイネを用いたニューカッスル病に対する植物経口ワクチンを作出することを目的として、導入する抗原遺伝子の塩基配列中の遺伝暗号であるコドンを最適化して遺伝子組換えイネを育成した。コドン最適化では、かずさDNA研究所のCodon Usage Databaseを参考にして改変し、抗原遺伝子としては、ニューカッスル病ウイルスの抗原タンパクであるF及びHNタンパクをコードするF(Fusion)及びHN(Hemagglutinin-neuraminidase)遺伝子から得られた配列、NDVBaliFop-pIG121Hmフラグメント及びNDVBaliHNop-pIG121Hmフラグメントを用いた。アグロバクテリウムを利用した遺伝子導入法によりイネの胚性カルスに導入した。処理した約2800個の胚性カルスから、選択マーカーであるハイグロマイシン耐性の46個の再分化体が得られた。この再分化体の培養をさらに続け、25個体のイネ再分化体の葉からDNAを抽出し、PCRによってコドン最適化したニューカッスル病ウイルスのHN遺伝子またはF遺伝子の導入を確認した。このうちの10個体で、コドン最適化したニューカッスル病ウイルスのHN遺伝子またはF遺伝子が転写され、mRNAが合成されていることがRT-PCRによって確認され、抗原タンパク質の産生が示唆された。が合成されていることがRT-PCRによって確認され、抗原タンパク質の産生が示唆された。
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