研究課題/領域番号 |
16K15048
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
帆保 誠二 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (60446507)
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研究分担者 |
石川 真悟 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 助教 (00755887)
三角 一浩 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (10291551)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 歯髄由来幹細胞 / ウマ / 分離法 / 培養法 / 保存法 |
研究実績の概要 |
ウマ歯髄由来幹細胞(DP-MSC) の適切な分離・培養法の確立とその細胞機能の解析を以下により実施した。 a) 採取した歯の保存・輸送法の検討:本試験では、抜歯狼歯を競走馬飼養施設から処理可能施設まで輸送するため、より簡便で長時間保存が可能な方法について検討した。その結果、一般的な生理食塩水に浸し、冷蔵下で輸送することにより抜歯2週後の狼歯からもDP-MSCの分離に成功した。また、DMSOを含んだ細胞保存液に抜歯狼歯を浸し、直接冷凍保存して輸送する方法についても検討したが、冷凍した狼歯からは増殖する細胞は分離できなかった。なお、特段の処理を施さなかった狼歯からも増殖する細胞は分離できなかった。 b) 抽出した歯髄の処理法の検討:同一の個体から抜歯した狼歯から抽出した歯髄を用いて酵素消化法、接着細胞伸長法で細胞の分離を試みた。その結果、酵素消化法ではすべての検体で分離に成功したが、接着細胞伸長法では細胞が分離できなかった。 c) 培養したDP-MSCの詳細な機能解析:幹細胞表面抗原マーカー及び分化能は、平成28年度に分離したDP-MSCにおいて全て維持されていた。サイトカイン産生能はリアルタイムPCRを用いたmRNA発現解析系を確立し解析した。その結果、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インシュリン様成長因子(IGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子-ベータ(TGF-β)の発現が認められた。DNA損傷の定量的解析法については、AP siteの定量的解析だけでなく、コメットアッセイ等多くの方法があり、バンク化したDP-MSCの評価に最も適した解析法について比較検討を行っている。このように実験計画は順調に進行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した通りDP-MSCの分離・培養法の確立に成功し、細胞機能解析についても順調に遂行されているため、本研究計画に大きな変更は必要ないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度はDP-MSCの適切な保存法について検討する予定であり、平成28年度に確立した分離・培養法および機能解析法を応用して研究を推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費を当初計画よりも安価に抑えることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
試験実施に必要な物品の購入費,学会出張旅費および論文投稿のための費用を年間を通じて計画的に使用する。
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