研究課題
Entamoeba. histolytica(EH) は家畜においても、複数種のEntamoeba(E) 種が報告されているが、いずれも病原性はないと報告されている。しかし、近年、我が国で致死性の消化器症状を呈する豚において、その組織病理学的解析によりアメーバ様原虫の寄生が確認されている。しかし、人獣共通に寄生するEHによるPCRでは鑑定できず、その種は明らかにされなかった。申請者らは、これまでに難治性・致死性の下痢症を呈する豚から、E. suis およびE. polecki(EP) を同定することに成功している。本研究課題では、これら豚に寄生するE種の病態を詳細に明らかにすべく以下の解析を実した。昨年度は、特にEP について、PCRおよびシークエンス解析により、4つあるサブタイプの型別方法を構築した。本年度は、国内においてさらに調査を実施し、複数の県において、難治性下痢症を呈する豚において、EPサブタイプ1と3を検出した。また、糞便検体、水や土壌検体からのPCR によるE の検出に加え、病理組織解析によりアメーバ様原虫が検出された場合でも、パラフィン切片からDNAを抽出し、遺伝子型を同定する事も可能であることが分かった。これにより、アメーバのシストおよび栄養型においても、解析は可能であることが分かった。いずれの検体も、可能な範囲で細菌学的およびウイルス学的解析を行ったが、他の病原体の関与の可能性は低く、その誘発因子は不明であるが、豚に寄生するEntamoeba は病原性を有することが示された。これまでの結果から、国内には、3種 (サブタイプ)のEが存在し、EPがより広く分布している可能性が示唆された。また、EH で用いられる培地を用いて、豚のE感染便から豚Eの培養を試みたが、成功しなかった。今後は培地成分や培養条件等の検討が必要と考えられた。
すべて 2017
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