研究課題/領域番号 |
16K15050
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
久末 正晴 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (80333144)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イヌ / 肝細胞 / 幹細胞 / 分化誘導 / ダイレクトリプログラミング / 骨髄 |
研究実績の概要 |
本研究では、ダイレクト・リプログラミング法を用いて、イヌの皮膚線維芽細胞から肝臓細胞への分化誘導系の確立を目指している。まず、成イヌの皮膚線維芽細胞を分離・培養してウイルスベクターを用いて、Hinf4およびFoxa1を導入し肝前駆細胞への分化誘導を確認する。さらに、適切な分化誘導因子の選択と培養条件を検討し、効率の良い線維芽細胞の除去および成熟肝細胞への分化誘導のプロトコールを作成する。 これまで、パッケージング細胞であるPLAT-Aにてレトロウイルスベクターを培養し、得られたウイルスを用いて遺伝子導入し、肝細胞誘導用の培地(DMEMおよびF12)にて、効率の良い分化誘導の条件検討を行った。その結果、MOI100~200にて効率的な分化誘導が出来ることが明らかとなった。 現在は、イヌの皮膚線維芽細胞だけでなく骨髄由来間葉系細胞からの分化誘導も行っている。アルブミン遺伝子およびE-カドフェリンの発現のmRNA発現量を基に、肝細胞への分化誘導に適切な条件を検討し指摘条件を設定した。定量的PCRの結果、Albumin発現量は遺伝子導入後day20において、分化誘導前に比べ1186倍の増加が見られた(正常肝細胞の0.003%)。しかしながら、day30ではその発現が108倍にまで減弱した。 免疫細胞化学の結果、遺伝子導入後day30においてAlbuminが検出された。F-actinの分布を確認した結果、遺伝子導入群においてF-Actinは細胞質全体への繊維状の分布から、細胞膜直下へ分布が変化し、円〜多角形の肝細胞様構造を示した。 以上の結果から、イヌBMSCsからアルブミンを発現する肝細胞様細胞への分化誘導に成功した(第17回日本再生医療学会総会で発表)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
皮膚由来の線維芽細胞の分化誘導が、個体差によってさまざまであり適切な分化誘導が難しい。対応として、①ソースの細胞を皮膚線維芽細胞に加え骨髄由来間葉系幹細胞を利用、②犬の腎線維芽細胞株を利用して分化誘導を試みる。 を実施している。①ソースの細胞を骨髄由来間葉系幹細胞を利用することにより実験結果は安定化しているので多少条件検討を進める予定である。②の腎線維芽細胞を用いた肝細胞の分化誘導は、まだ条件設定中ではあるが検討を行ってゆく。
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今後の研究の推進方策 |
今後の対応として、①ソースの細胞を皮膚線維芽細胞に加え骨髄由来間葉系幹細胞を利用、②犬の腎線維芽細胞株を利用して分化誘導を試みる。 を今後の引き続き実施する。分化誘導に成功した細胞は順次、三次元培養を行い機能とクオリティの高い肝細胞の分化誘導ができる事を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
概ね予算は執行できたが、少額の研究費が繰越となった。
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