研究課題/領域番号 |
16K15056
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
藤田 秋一 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (60282232)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脂質 / 電子顕微鏡 / ナノスケール / イノシトールリン脂質 / 細胞内オルガネラ |
研究実績の概要 |
我々は以前より、急速凍結・凍結割断レプリカ標識法を用いて、生体膜における脂質の微細分布を検討してきた。今回、哺乳類培養細胞内を効率的に割断できる方法を確立した。さらにその確立した方法を用いて、イノシトールリン脂質のphosphatidylinositol 4-phosphate (PtdIns(4)P)及びphosphatidylinositol 4,5-bisphosphate (PtdIns(4,5)P2)について、細胞内オルガネラ膜での微細分布を急速凍結・凍結割断レプリカ標識法を用いて検討した。PtdIns(4)Pは主に後期エンドソームの内葉に、PtdIns(4,5)P2は主に初期エンドソーム及びミトコンドリアの内膜のそれぞれ内葉に局在することが新たにわかった。いくつかのエンドソームではPtdIns(4)PとPtdIns(4,5)P2が共局在しており、さらに同一エンドソーム内でそれぞれ別のドメインを形成していることがわかった。このことから細胞内エンドソームの膜輸送にはPtdIns(4)PとPtdIns(4,5)P2のエンドソーム膜上での産生レベルが重要な役割を担っていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細胞内オルガネラでのphosphatidylinositol 4-phosphate (PtdIns(4)P)及びphosphatidylinositol 4,5-bisphosphate (PtdIns(4,5)P2)の微細局在を明らかにすることが可能となった。しかし、生体膜リン脂質に結合する脂肪酸のレプリカ上での標識及びクリックケミストリーを用いたホスファチジルリン脂質の標識の技術確立はまだ達成しておらず、現在最適な条件を検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
生体膜リン脂質に結合する脂肪酸のレプリカ上での標識及びクリックケミストリーを用いたホスファチジルリン脂質の標識の技術確立の条件検討を行い、より早い段階での技術の確立を目指すと同時に、それらの技術を用いた細胞内及び細胞膜でのこれら脂質の微細分布を明らかにし、生理学的意義の解明に役立てたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
アルキン化脂肪酸を用いることにより、光学顕微鏡下での生体膜リン脂質に結合する脂肪酸の可視化に成功したものの、レプリカ上での標識には至っておらず、その解析が現在のところ可能ではない。加えて、相面レプリカの作成が全くできず、こちらもその解析が現在のところ出来ていないため。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、さらなる工夫を凝らし、レプリカ上での脂肪酸の標識、及び相面レプリカの作成を可能にし、生体膜での微細分布の解析を可能になるようにして、従来の計画を進めていく。
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