研究実績の概要 |
ホスファチジルイノシトール4リン酸(PtdIns(4)P)、ホスファチジルイノシトール-4,5-2リン酸(PtdIns(4,5)P2)を標識する技術を開発し、哺乳類細胞内小器官、特にエンドソームでのナノスケール分布解析を行った。その結果、PtdIns(4,5)P2は主に初期エンドソームに、PtdINs(4)Pは主に後期エンドソーム局在することを明らかにした。しかしながら、PtdIns(4)PとPtdIns(4,5)P2が共局在するエンドソームも存在することがわかり、同一エンドソーム内でそれぞれのドメインを形成することを明らかにし、初期エンドソームから後期エンドソームへの変換に両脂質が何らかの役割をもつことが示唆された。さらに、哺乳類細胞内では、PtdIns(4,5)P2がミトコンドリアの内膜に局在することが判明し、ミトコンドリア内膜に存在するイオンチャネルなどの輸送体の活性化に寄与することが示唆された。また、PtdIns(4)Pの酵母細胞でのナノスケールレベルにおける局在を明らかにし、PtdIns(4)Pは細胞膜、ゴルジ体、小胞および液胞の細胞質側の層に局在し、核、ミトコンドリアおよび小胞体には存在しないことを明らかにした。特に、細胞膜、液胞においては、PtdIns(4)Pが集積し、ナノスケールレベルのドメインを形成していることを明らかにし、このことは、細胞膜および液胞でのPtdIns(4)Pの役割解明に役立つ重要な情報を提供できたと考えられる。
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