研究課題/領域番号 |
16K15057
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
遠藤 秀紀 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30249908)
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研究分担者 |
村田 浩一 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00339285)
鯉江 洋 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20267040)
中山 裕之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40155891)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 超高齢動物 / 病理学 / 骨格 / 動物園 / 水族館 |
研究実績の概要 |
高齢個体、長期飼育された個体の死体を収集し、標本化を推進するとともに、博物館収蔵骨格標本からのデータ収集を開始し、解析結果を得た。骨形質のマクロ形態学的検討に加え、医療用CTスキャナーによる三次元情報化を実績として残すことに成功した。高齢動物の死体の収集と三次元情報化を進め、高齢個体とともに標準的な成体の比較データを多数得て、超高齢動物の生理病理状態と形態学的特質の理論化を進めた。また、飼育動物の死体収集の機会を拡張し、獣医病理学知見に全般的に厚みをもたらす現場づくりを推進し、臨床獣医学と獣医病理学の境界領域において重要となる高齢化に対する新たな考え方を提起することができた。その成果は、超高齢動物の直接的な研究にとどまらず、飼育動物・愛玩動物に関する基礎的データ収集体制に幅を持たせることにつながっている。高齢動物では、アジアゾウ、カバ、キリン等、飼育下で超高齢に至ることが珍しくない種においては、老体の脊椎や四肢におけるマクロ形態学的異常を検出し、骨老化の基礎理論に位置付けることができた。特にアジアゾウでは記録的高齢個体に生じるいくつかの顎と臼歯列の問題点を高度画像情報として抽出した。中型獣では超高齢により顎運動の障害となる頭蓋顔面部や顎関節における形態学的異常を抽出、特に愛玩動物では予防施策を考察し、臨床現場への貢献を図った。普及という意味では今後に向けた大きな可能性を準備するに至っている。さらに鳥類において高齢化変異の骨学的解析を進め、変化の種間差や集団間差を把握し、基礎理論として考察した。飼育数の多いヤケイ・ニワトリ集団を用いることで、年齢と形態変化について生理学的背景とともに高水準で把握した。超高齢個体は、例数からして一般的理論化が困難な種やケースはあるが、今後の研究に向けた萌芽的段階として、超高齢動物の骨変化の実態に対する証拠固めを推進することができたといえる。
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