研究課題/領域番号 |
16K15058
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
堀 正敏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (70211547)
|
研究分担者 |
米川 博通 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基盤技術研究センター, 特任研究員 (30142110)
神沼 修 山梨大学, 総合研究部, 准教授 (80342921)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | ジフテリア毒素 / カハール介在細胞 / Ano-1 / c-kit / 消化管 / TRECKマウス |
研究実績の概要 |
本研究では、① 改良型TRECK(Toxin Receptor mediated Cell-Knockout)法により、マウス体内からInterstitial cells of Cajar (ICC)をコンディショナルかつ特異的に欠損可能なマウスを作製し、②この ICC欠損マウスにGFP-間葉系幹細胞を移植し、ICCの再生過程と、ペースメーカー機能や消化管輸送能との連関を解析することで、消化器疾患における新たな治療標的としてのICC再生医療の基盤を構築する、ことを目的とする。
初年度は、Ano-1およびc-kit遺伝子を標的にしたICCのDouble Promoter-Derived-TRECK(DPD-TRECK)マウスを作製するために、コンストラクトを作製した。具体的には、ANO-1およびc-kit遺伝子における発現調節領域約15-20kbを、両端にloxP配列を配置したkanamycin耐性遺伝子(kan)等のマーカー遺伝子を介してヒト由来のDTレセプター(hDTR)遺伝子に接続、およびCreリコンビナーゼ遺伝子に接続した2つのコンストラクトを作製した(Ano-1/Creとc-kit/loxp/ hDTR)。Ano-1のトランスジェニックマウスの作製を行い、全部で5ラインのTGマウスを樹立した。現在、Creの活性検証を実施し、どのラインを用いるか検討している。
一方、c-kit/loxp/hDTRについては、上手くトランスジェニックマウスが得られず、コンストラクトを作り直すなどして対処した。結果として、幾つかのマウスが得られ、現在ジェノタイピングによる確認作業中である。確認作業の後、複数のラインを樹立し、loxpの機能確認実験を行い、Ano1/Creマウスとの交配を極力早く開始する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
c-kit/loxp/hDTRコンストラクトの受精卵へのインジェクションが上手く進まず、子供を得るのに時間がかかった。結局、コンストラクトを作り直すことで標的遺伝子を組み込んだマウスの作出目処を立てることができた。
現在は、Ano-1/Creマウスの機能発現が正常であるか確認するとともに、両系統のマウスの交配準備を行っている。
|
今後の研究の推進方策 |
DPD-TRECK法によるマウス作出においては、2系統のTGマウスを作出しなくてはならず、それぞれの系統でのTGのラインの選定作業などを考慮すると、本DPD-TRECKマウス作出には、まだ時間がかかると考えられる。今後、なるべく早い時期に、Ano1/Creマウスとc-kit/loxp/hDTRマウスの機能発現確認を終え、両系統の交配に着手する。
得られたICC/DPD-TRECKマウスを用いて、DTによるICC傷害の程度の確認はc-kit抗体による免疫染色法で行い、この際、消化管運動機能について、摘出腸管を用いたEx vivo実験とデキストランビーズを用いた消化管輸送能試験で行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、TRECKマウス作製のためのコンストラクトの作製に時間がかかり、初年度が終了する段階で、Ano1/Creトランスジェニックマウスについては、漸く5匹のマウスが得られたため、現在5つのTGラインを作製中である。また、c-kit/lox/hDTRについては漸くマウスが数匹得られた段階で、これからGenotypingで遺伝子の挿入を確認する必要がある。 このように、初年度はDPD-TRECKマウス作出に至っていないことから次年度に予算を残す事とした。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度は、Ano-1/Creのラインとc-kit/lox/hDTRの各TGラインを樹立し、そこからICC/DPD-TRECKマウスの作出を第一段階として目指す。残した予算は、これらのマウスの 作出に大方使用する予定である。さらに、得られたマウスにDTを投与し、ICCの傷害誘導を引き起こす実験条件などの詳細を決定し、後天的にICC傷害を引き起こした際のICCの再生と機能回復について解析していく。
|