研究課題/領域番号 |
16K15067
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
中鉢 淳 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (40332267)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | エンドウヒゲナガアブラムシ / 共生関連遺伝子 / ゲノム編集 / CRISPR-Cas9 / 単為生殖虫 / エレクトロポレーション |
研究実績の概要 |
エンドウヒゲナガアブラムシ単為生殖雌成虫の体腔内にStemMACS eGFP mRNA溶液をインジェクトし、生体用エレクトロポレーターを用いて、様々な電圧・パルスパターンの電気刺激を与えた後、蛍光顕微鏡観察により蛍光を検出し、核酸導入効率の至適条件を決定した。次に共生細菌Buchneraの分裂面にリング状の構造を形成するタンパク質X1をコードする遺伝子に注目し、これに対応するガイド配列を複数設計・合成し、gRNA発現プラスミドに挿入した。一般に生殖細胞特異的に発現するとされるvasa mRNAの非翻訳領域をCas9 ORFの両端に連結することで、Cas9ヌクレアーゼの生殖細胞特異的な発現を目指した。エンドウヒゲナガアブラムシではvasa遺伝子が4コピー存在し、とくにApvasa1の発現レベルが最も高いため、同遺伝子の非翻訳領域を用いた。構築したRNA発現用プラスミド(pDR274_ApX1 / pGEM_Apvasa1_Cas9)をDraI処理し、mMessage mMachine T7 Transcription Kitを用いて、投与に用いるgRNAおよびCas9 mRNAを調製した。その後、Cas9 mRNAについては、Poly(A) Tailing Kitを用いて3’末端にPoly(A) Tailを付加した。こうして得られたgRNAとCas9 mRNAの混合溶液をエンドウヒゲナガアブラムシ単為生殖雌成虫の体腔内にインジェクトし、至適条件の電気パルス刺激を与えた。溶液組成については、オオミジンコにおいて、gRNA: 50 ng/uL、Cas9 mRNA: 500 ng/uLの濃度比率において最も高いノックアウト効率が報告されているため、まずはこの組成を試用した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼH28年度の研究計画どおりの実験作業を進めることができたため、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
タンパク質X1コード遺伝子のgRNAとCas9 mRNAを投与した単為生殖雌成虫から産出されたアブラムシ幼虫全頭について触角の一部を切除してゲノムDNAを抽出し、変異導入の標的領域をPCR増幅する。増幅産物の変性、アニーリングの後、Guide-it Resolvaseによる切断処理を行い、アガロースゲル電気泳動により切断断片を確認することで変異を検出する。一方、もしくは両方のアリールの破壊が確認された個体やその子孫について、タンパク質X1に対する免疫組織化学をはじめとする各種解析を行うことで、共生系への影響を精査する。また、エンドウヒゲナガアブラムシのゲノム情報に基づき、オフターゲット効果のリスクが想定される領域についても変異導入の有無を検証する。順次、X1以外の遺伝子についてもノックアウト実験を進め、それぞれの遺伝子の機能解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に不足額が生じないよう、慎重な予算執行を心がけたため。
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次年度使用額の使用計画 |
各種消耗品などに使用予定。
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