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2018 年度 実績報告書

イネ根におけるアミノ酸の選択的な蓄積機構の解明:アブラムシ由来の新奇エリシター

研究課題

研究課題/領域番号 16K15069
研究機関高知大学

研究代表者

手林 慎一  高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (70325405)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードイネ / エリシター / アミノ酸 / アブラムシ
研究実績の概要

オカボノアカアブラムシがイネの根に寄生すると、「何らかの刺激」により寄生部位の遺伝子発現が大きく変動し、結果としてアスパラギンやグルタミンなど一部のアミノ酸が高濃度に蓄積することを見出した。この特異に富栄養化したアミノ酸組成は、アブラムシが共生菌ブフネラからアミノ酸の供与を受けるために最適化されており、アブラムシが自己の増殖のために植物の栄養状態を改変していることが示され、その調節機構の解明が待ち望まれている。本研究ではこのアミノ酸生合成経路の遺伝子発現を活性化する「分子レベルの刺激(エリシター)」を解明し、食害者にとって利益をもたらすという全く新たなカテゴリーのエリシターの存在を証明することを目的とした。現在までに安定的なエリシターの活性評価方法の開発を達成したため、本年度はエリシターの精製を目指した。
既に確立したイネ根断片に試料を塗布し48時間後に褐変程度を評価する方法で、エリシター活性を評価しながら、活性物質の精製を行った。その結果、強い活性の確認された抽出物を液液分配分画で分画すると酢酸エチル層と水層に活性が分画された。水層は活性が不安定だったため酢酸エチル層をさらにODSカラムで精製すると、活性は60%MeOH/水画分に回収された。この画分の物質量はごく微量(0.1mg以下)であったため、これ以上の精製は行わずLC-MSMSで分析を行った。その結果、未知のゼアチン類縁体の存在とともに、イソペンテニルアデニン(iP: 8.33 nM/mg fr. wt.)が検出された。そこでトランス-ゼアチン(tZ)とiPの褐変への影響を調べたところ、iPおよびtZともに褐変は促進されなかったものの、iPの処理によりセロトニンの蓄積が観察された。これらのことからアブラムシは寄生の際にiPを植物体内に移行させ、必要なアミノ酸類を蓄積させ植物を富栄養化させているものと結論できた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Accumulation of 9- and 13-KODEs in response to jasmonic acid treatment and pathogenic infection in rice,2018

    • 著者名/発表者名
      Nishiguchi, S, Murata, K, Ube, N, Ueno, K, Tebayashi, S, Teraishi, M, Okumoto, Y, Mori, N, Ishihara,
    • 雑誌名

      Journal of Pesticide Science

      巻: 81 ページ: 191-197

  • [学会発表] Induced resistance on the root of rice plant by plant hormones against root aphid.2018

    • 著者名/発表者名
      Shinichi Tebayashi*1, Hayato Sumita1, Akira OIKAWA2, Hideaki MASEDA3, Atsushi ISHIHARA4
    • 学会等名
      ISCE 34th Annual Meeting, Budapest, Hungary,
    • 国際学会
  • [備考] 高知大学農林海洋科学部化学生態学研究室HP

    • URL

      http://www.cc.kochi-u.ac.jp/~tebayasi/index.html

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公開日: 2019-12-27  

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