研究課題/領域番号 |
16K15070
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研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
新美 輝幸 基礎生物学研究所, 進化発生研究部門, 教授 (00293712)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | キリギリス / 翅 / 左右非対称性 |
研究実績の概要 |
本研究の実験材料に用いるヒガシキリギリス(Gampsocleis mikado)は直翅目(バッタ、キリギリス、コオロギなどの仲間)昆虫のキリギリス亜目キリギリス上科に属する昆虫である。直翅目昆虫では、フタホシコオロギ(Gryllus bimaculatus)やサバクトビバッタ(Schistocerca gregaria)においてnymphal RNAi(不完全変態昆虫の幼生期に行うRNA干渉)法が有効であることが知られている。フタホシコオロギはキリギリス亜目コオロギ上科に、サバクトビバッタはバッタ亜目バッタ上科に属しており、直翅目昆虫の系統関係から、ヒガシキリギリスにおいてもnymphal RNAi法が有効であると予想された。そこで、ヒガシキリギリスにおいてnymphal RNAi法の有効性を検証するため、進化的に保存性が高く、RNAiによる表現型が明確な2つの遺伝子に着目した。まずヒガシキリギリスのRNAシークエンシング(RNA-seq)によって得られたデータから目的の遺伝子配列を検索し、プライマーを設計してクローニングした。得られた遺伝子領域に対する二本鎖RNAを合成してヒガシキリギリスの若齢幼虫に注射した。その結果、いずれの遺伝子においても表現型を観察することはできなかった。そこで、RNAiによる遺伝子発現への影響を調査するため、リアルタイム定量PCR法を行った。その結果、いずれの遺伝子についても遺伝子発現の減少は認められなかった。したがって、ヒガシキリギリスにおいては、当初の予想に反してnymphal RNAi法が有効でないことが明らかとなった。つぎに、この問題点を解決するため、種々の方法について条件検討を行った結果、ヒガシキリギリスにおいても有効なRNAi法の条件を見出すことに成功した。今後は、ヒガシキリギリスにおいて有効な条件のRNAi法を用いて、翅の左右非対称性をもたらす遺伝子候補の機能解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想外なことにnymphal RNAi法が効果的でなかった。そこで、計画を変更して、様々な方法を検討するために時間を要してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
nymphal RNAi法の問題点を解決する別のRNAi法を行うことにより、研究計画を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
候補遺伝子アプローチ法に基づき、RNAi解析を行う予定であったが、予想外なことにnymphal RNAi法が効果的でなかったため、様々な方法を検討するために時間を要してしまったため、未使用額が生じた。
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