研究課題/領域番号 |
16K15076
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上高原 浩 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10293911)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | バイオマス / セルロース |
研究実績の概要 |
外部刺激応答性ヒドロゲルと同様に外部刺激応答性オルガノゲルは極めて興味深い材料である。温度応答性バイオマスオルガのゲルを調製するため、本研究では有機化学的な手法を用いて構造-物性-機能相関を詳細に検討することを第一目的とした。 3年計画の初年度である本年度は、当初の計画に従い、購入したパーソナル有機合成装置を用いてセルロース誘導体のモデル化合物である低分子誘導体を合成し、その溶液中での会合状態を評価した。なお、当初高分子化合物であるセルロース誘導体の合成を並行して行う予定であったが、化学構造の決定が比較的容易な低分子化合物の合成を先行させた。 すなわち、セロビオース誘導体をクリック反応により連結させ、保護基の除去により目的の化合物を合成した。化合物の化学構造はNMR分析、MALDI-TOF MS分析により決定した。次いで、動的光散乱法 (DLS) により、溶液中における化合物の会合サイズを分析し、原子間力顕微鏡 (AFM) により、会合体の形態を観察した。その結果、化合物のNMRスペクトル分析、MALDI-TOF MS分析により、目的化合物の合成に成功したことを確認した。また、DLS測定およびAFM観察により、化合物分子は有機溶媒中で自己組織化していることが判った。 この化合物の基本的な合成戦略は、合成化合物群の構造-物性-機能相関の検討を可能とする。よって、本年度この化合物の合成ルートを確立したことは平成29-30年度の実験を計画する上でインパクトが大きい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた化合物の合成を達成し、その溶液物性を検討することが出来、次年度の研究方針に対する指針が得られたから。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を元に以下のように研究を推進することとした。 1. 化学構造の異なる数種の低分子化合物の合成 2. セルロース誘導体合成ルートの確立 3. 合成化合物の溶液物性評価 4. 最適化合物合成に向けた最適化学構造の絞り込み
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、低分子モデル化合物の合成および高分子化合物であるセルロース誘導体の合成を並行して行う予定であった。しかしながら、研究を進めていく過程で、高分子化合物の合成を同時に行うより、低分子モデル化合物の合成に集中した方が最終目的を達成する上で効率的であると判断した。その結果、セルロース誘導体合成に必要な物品費が残余した。
|
次年度使用額の使用計画 |
セルロース誘導体合成のためには、溶媒や反応試薬を多く使用しなければならない。そこで、セルロース誘導体合成用溶媒、試薬、加えて反応用大型ガラス器具類を購入する。
|