研究課題/領域番号 |
16K15077
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
鈴木 章弘 佐賀大学, 農学部, 教授 (50305108)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 菌根菌 / 光質 / 共生 / 根 / 菌糸 |
研究実績の概要 |
いくつかの草本植物では,地上部へ照射された太陽光のうち遠赤色光(FR)が植物内を通って根へ到達すると報告されているが。申請者らはダイズと菌根菌の共生系において,太陽光に加えてFR を補光すると,菌根菌の感染率が有意に高くなることを見出した(R/FR≒1.0,R は赤色光)。そこで本研究では「光伝送によって地上部から根へ到達したFR が菌根菌の菌糸分岐を誘導し共生を促進する。」という仮説を立て,3つの小課題を遂行している。 小課題1)ダイズの地上部へ照射されたFR が光伝送によって根へ到達することの確認:この課題では,ダイズを材料に光センサーで根からの放射光を測定したが,光の量が少なく定量することができなかった。そこで戦略を変更してフィルターレスの一眼レフカメラを作成して根からのFRの検出を行っている。 小課題2)菌根菌の菌糸分岐が誘導されるFR の照射条件の検討:この課題では,M培地へ菌根菌の胞子を塗布して菌根菌の成長を観察した。そしてその際FRを菌根菌の胞子へ照射することで成長に対する影響を調査した。その結果,当初予想していた1.5 umole/m2/sよりもさらに微量の光でも,菌根菌の菌糸分岐が誘導されることを確認した。 小課題3)根へ到達したFR によって菌糸分岐が誘導されることの証明と代謝ネットワークの理解:根と菌根菌間の物質の往来を完全に遮断した状態でも地上部へ照射する光の質によって菌糸の成長に差が生じることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小課題1)ダイズの地上部へ照射されたFR が光伝送によって根へ到達することの確認:この課題では,ダイズを材料に光センサーで根からの放射光を測定したが,光の量が少なく定量することができなかった。しかし戦略を変更してフィルターレスの一眼レフカメラを作成して根からのFRの検出を行っているから。 小課題2)菌根菌の菌糸分岐が誘導されるFR の照射条件の検討:当初予想していた1.5 umole/m2/sよりもさらに微量の光でも,菌根菌の菌糸分岐が誘導されることを確認することができたから。 小課題3)根へ到達したFR によって菌糸分岐が誘導されることの証明と代謝ネットワークの理解:根と菌根菌間の物質の往来を完全に遮断した状態でも地上部へ照射する光の質によって菌糸の成長に差が生じることを確認することができたから。
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今後の研究の推進方策 |
小課題1)ダイズの地上部へ照射されたFR が光伝送によって根へ到達することの確認:この課題では,ダイズを材料に光センサーで根からの放射光を測定したが,光の量が少なく定量することができなかった。そこで戦略を変更してフィルターレスの一眼レフカメラを作成して,現在は根からのFRの検出を行っている。最終年度もこれを継続して行う。 小課題2)菌根菌の菌糸分岐が誘導されるFR の照射条件の検討:当初予想していた1.5 umole/m2/sよりもさらに微量の光でも,菌根菌の菌糸分岐が誘導されることを確認した。最終年度は,菌糸の伸張や方向性まで踏み込んだ研究を行う。 小課題3)根へ到達したFR によって菌糸分岐が誘導されることの証明と代謝ネットワークの理解:根と菌根菌間の物質の往来を完全に遮断した状態でも地上部へ照射する光の質によって菌糸の成長に差が生じることを確認した。最終年度これを継続して行い,さらにそのときのダイズ根におけるトランスクリプトーム解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終的な消耗品費が予定より少なく済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の消耗品費に組み入れて使用予定である。
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