研究課題/領域番号 |
16K15086
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高谷 直樹 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50282322)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 糸状菌 / 多細胞生物 / オミクス / 菌糸 |
研究実績の概要 |
本研究では、多細胞性の成育形態をとる糸状菌の菌糸の細胞ごとの機能分化(ヘテロ性)を明らかとすることを目指す。第一に、これらの多細胞系の中のヘテロ細胞を一細胞レベルで観察する手法を確立することを目指した。具体的には、多細胞微生物である糸状菌の菌糸の基底部、中央部、先端部での細胞ごとの代謝・機能の相違を解明するためにマイクロ流体デバイスを活用して、これらの部位をとりわける戦略を立てた。また、このときのモデル糸状菌としては、Aspergillus nidulansを用いた。まず、デバイスの流路、材質、培地のフィード条件を検討し、観察に適した生育条件の最適化を行った。その結果、マイクロデバイス内にA. nidulansの胞子を入れ固定すること、その胞子を発芽させ成育させることが可能となった。しかし、分画については大量調整系の構築が今後の課題となることが判明した。十分量の菌糸細胞を調整し網羅的な解析をすることが困難であったため、特定のタンパク質に着目し、それらの菌糸細胞におけるヘテロ性についての検討を行った。本菌のglycogen合成と分解に関わる酵素(glycogen synthase、glycogen phophorylase)の菌糸細胞内での局在性を観察したところ、これらは互いに異なる細胞内局在性を示し、明瞭なヘテロ性が見られた。これは、糖代謝に関わる機能が菌糸細胞内で不均一であることを示すものとしてユニークな発見であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マイクロデバイス内で菌糸を生育させることはできたが、オミクス解析に必要な量の細胞を集めるために、未だ工夫を要する状況であるため。
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今後の研究の推進方策 |
マイクロデバイス内で菌糸を効率よく配向させるために、現在も、マイクロデバイスのデザインの改良を鋭意検討している。一方、特定のタンパク質にターゲットを絞った菌糸のヘテロ性の解明については、定法に従い成果が得られる見込みであるので、これもあわせて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
マイクロデバイスを用いた菌糸の生育の最適化に難航したため、高価な試薬を必要とする各種オミクス解析をおこなうことができなか ったため。
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