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2016 年度 実施状況報告書

マコモと黒穂菌の共存・共生の化学―マコモタケ形成の分子機構―

研究課題

研究課題/領域番号 16K15088
研究機関静岡大学

研究代表者

河岸 洋和  静岡大学, グリーン科学技術研究所, 教授 (70183283)

研究分担者 鈴木 智大  宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (10649601)
崔 宰熏  静岡大学, 農学部, 助教 (40731633)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードマコモタケ
研究実績の概要

マコモタケ(植物・菌共生体)の共生に関わる分子機構を総合的に理解するために,以下の目的を設定した。1)黒穂菌あるいはマコモタケからの新規植物ホルモン様物質の単離,構造決定,活性発現機構の解明を行う。また,その植物中の受容体を解明する。2)マコモからの新規菌糸誘導物質の単離,構造決定,活性発現機構の解明を行う。また,その菌中の受容体を解明する。3)マコモ-黒穂菌の共生関係を網羅的に検討するために,マコモタケの共生過程で発現が変動する遺伝子を探索する。
平成28年度は以下の結果を得た。
1)黒穂菌を液体培養し,菌体と培養濾液に分け,培養濾液はヘキサンと水、次いで酢酸エチルと水で溶媒分画をした。菌体は凍結乾燥後、ヘキサン、酢酸エチル、エタノール、水で順次抽出した。レタス幼苗に対する効果を検討したところ、培養濾液の酢酸エチル可溶部に成長促進活性が認められた。そこで、この活性を指標に、培養濾液の酢酸エチル可溶部を各種クロマトグラフィーに供し, 2種の物質を得ることに成功した。NMRや質量分析等の機器分析によって,これらの構造を決定したところ、新規物質であることが判明した。現在,レタス幼苗に対する活性を測定中である。2)マコモ-黒穂菌の共生関係を網羅的に検討するために,マコモ植物体からのカルスの作成を試みた。3)マコモタケを大量に購入し、エタノール、アセトンで抽出し、抽出液を減圧濃縮後、ヘキサンと水、次いで酢酸エチルと水で溶媒分画をした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1) 黒穂菌を液体培養し,菌体と培養濾液に分け,それぞれを溶媒分画をした。培養濾液の酢酸エチル可溶部から2種の新規物質を得ることに成功した。
2) マコモ-黒穂菌の共生関係を網羅的に検討するために,マコモ植物体からのカルスの作成に成功した。

今後の研究の推進方策

前年度の研究を継続し,新たに以下の研究を行う。
植物成長調節物質 1)黒穂菌を大量に培養し,各種クロマトグラフィーを駆使し,代謝産物を徹底的に精査する。2) 得られた物質の構造をNMRなどの機器分析や化学反応を駆使して決定する。得られた物質の未感染のマコモ(植物体)やカルスなどに対する効果(マコモタケのような組織の肥大)を確認する。3)活性のあった物質をリガンドとして表面プラズモン共鳴(SPR)のセンサーチップに固定化し,マコモ抽出物をアナライトとして用い,特異的に結合する物質(受容体)の有無を確認する。特異的結合か否かは,アナライト注入後に,活性物質あるいはアルキル化によって得られた不活性類縁体を注入し(co-inject法),活性物質によって解離が促進され,不活性な類縁体では促進されないことで判断する。4)SPRで特異的結合は確認された場合スペーサーを有する誘導体を合成しアフィニティークロマト用ゲルを作製し,植物から受容体の精製を行う。 5)得られた受容体蛋白質を電気泳動に供し、ゲルからの切り出し・トリプシン消化後、LC-MS/MS解析に供する。また,RNAseqから得られた遺伝子情報からLC-MS/MS解析用データベースを作成し,受容体の1次構造を明らかにする。6)得られた受容体をホモロジー検索・ホモロジーモデリングを行い,機能部位の推定・構造類似蛋白質の情報を集め,活性発現機構の一助とする。

次年度使用額が生じた理由

今年度初めに、マコモタケを購入するために前年度から繰り越した。

次年度使用額の使用計画

マコモタケとともに、HPLC分取・分析カラムセットを購入する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 黒穂菌とマコモの共生に関する化学的研究2017

    • 著者名/発表者名
      西山 祐貴、小堀 一、崔 宰熏、徳山 真治、平井 浩文、河岸 洋和
    • 学会等名
      日本農芸化学会2017年度大会
    • 発表場所
      京都女子大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2017-03-19

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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