マコモタケ(植物・菌共生体)の共生に関わる分子機構を総合的に理解するために,以下の目的を設定した。1)黒穂菌あるいはマコモタケからの新規植物ホルモン様物質の単離,構造決定,活性発現機構の解明を行う。また,その植物中の受容体を解明する。2)マコモからの新規菌糸誘導物質の単離,構造決定,活性発現機構の解明を行う。また,その菌中の受容体を解明する。3)マコモ-黒穂菌の共生関係を網羅的に検討するために,マコモタケの共生過程で発現が変動する遺伝子を探索する。 平成29年度は以下の結果を得た。 1)28年度に引き続き,黒穂菌を液体培養し,菌体と培養濾液に分け,培養濾液はヘキサンと水、次いで酢酸エチルと水で溶媒分画をした。菌体は凍結乾燥後、ヘキサン、酢酸エチル、エタノール、水で順次抽出した。レタス幼苗に対する効果を検討したところ、培養濾液の酢酸エチル可溶部に成長促進活性が認められた。そこで、この活性を指標に、培養濾液の酢酸エチル可溶部を各種クロマトグラフィーに供し,3種の物質を得ることに成功した。NMRや質量分析等の機器分析によって,これらの構造を決定したところ、新規物質であることが判明した。そのうち,2化合物はレタス幼苗に対して成長抑制活性を示した。2)マコモ-黒穂菌の共生関係を網羅的に検討するために,マコモ植物体からのカルスの作成を試み,マコモの根からカルスの作成に成功した。3)マコモタケの共生過程で発現が変動する遺伝子を次世代シークエンサーで解析した。
|