研究課題/領域番号 |
16K15091
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田代 康介 九州大学, 農学研究院, 准教授 (00192170)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 微小培養 / エマルジョンドロップ / 環境微生物 |
研究実績の概要 |
1)培養用エマルジョンドロップ作成条件の確立 On-chip社 Droplet Generatorを用いて、エマルジョンドロップの作成条件を検討したのち、大腸菌(GFP発現)の増殖を指標にして、最適培養条件を検討した。検討項目は、①エマルジョンドロップのサイズ、②エマルジョンドロップの密度、③添加オイル量、④培養容器形状(表面処理)、⑤培地組成(主に、グルコース量)、及び⑥培養温度である。その結果、最終的に、微生物培養によく用いられる培養液を用いて、30や37度条件下で2週間以上の維持が可能な培養条件を確立した。次に、確立した培養条件を用いて、出芽酵母、各種乳酸菌を用いて、同様の培養条件検討を行い、培地組成を整えることにより、各微生物の培養が可能であることを確立した。さらに、菌増殖を測定するための菌体染色条件を検討した。結果的に、DAPIとPIを組み合わせた染色により、生菌、死菌、増殖速度の測定が可能な条件を確立した。 2)エマルジョンドロップと環境成分を利用した難培養性微生物の培養 土壌を材料として、微生物の単離と環境成分の抽出を行い、エマルジョンドロップ作成後、培養を行った。本年度は、採取法の確立と培養を実施した。採取方法としては、土壌を培養液や緩衝液中で破砕し、夾雑物を除いた微生物分画を採用した。また、採取した環境微生物のエマルジョンドロップによる培養を実施し,微生物の増殖を確認した。今後、NGSによるメタ解析などを実施し、人工培地では増殖しない難培養性微生物であること、環境中に存在する難培養性微生物の中で占める位置づけ、培養可能となった難培養性微生物のゲノム情報・性質、などを明確にする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究申請における計画項目を順調に推進している。 1.微生物培養を行うためのエマルジョンドロップ調製手法の確立 培養用エマルジョンドロップ作成条件の確立:On-chip社 Droplet Generatorを用いて、エマルジョンドロップの作成条件を検討したのち、大腸菌(GFP発現)の増殖を指標にして、最適培養条件を検討した。その結果、最終的に、微生物培養によく用いられる培養液を用いて、30度や37度条件下で2週間以上の維持が可能な培養条件を確立した。次に、確立した培養条件を用いて、出芽酵母、各種乳酸菌を用いて、同様の培養条件検討を行い、培地組成を整えることにより、各微生物の培養が可能であることを確立した。さらに、菌増殖を測定するための菌体染色条件を検討した。結果的に、DAPIとPIを組み合わせた染色により、生菌、死菌、増殖速度の測定が可能な条件を確立した。 2. エマルジョンドロップと環境成分を利用した難培養性微生物の培養 土壌を材料として、微生物の単離と環境成分の抽出を行い、エマルジョンドロップ作成後、培養を行った。本年度は、採取法の確立と培養を実施した。採取方法としては、土壌を培養液や緩衝液中で破砕し、夾雑物を除いた微生物分画を採用した。また、採取した環境微生物のエマルジョンドロップによる培養を実施し,微生物の増殖を確認した。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の土壌を材料とした環境微生物の単離に加えて、醗酵槽からも微生物の単離と環境成分の抽出を行い、エマルジョンドロップ作成後、培養を行う。醗酵槽には、乳酸菌など有益な微生物が多数生育していることが想定されること、また、環境生物の抽出が容易であることが想定される。本研究課題では、土壌と醗酵槽を材料として今後、計画通り以下の項目を実施する。 1) 環境微生物の単離と環境生物の抽出 土壌、醗酵槽を材料として、環境中微生物の調製を行う。手法としては、確立した手法(土壌を培養液や緩衝液中で破砕し、夾雑物を除いた微生物分画)を用いる。次に、土壌や醗酵槽を材料として環境成分を抽出する。手法としては、土壌を培養液や緩衝液中で破砕し、夾雑物・微生物を除去した溶液分画を用いる。 2)エマルジョンドロップにおいて培養可能な微生物集団の同定 エマルジョンドロップによって培養した微生物の特徴づけを行うために、次世代シーケンサー(MiSeq(Illumina社)を用いてメタゲノム解析を行う。解析する対象は、土壌破砕物から抽出したDNA、土壌から調製した微生物分画DNA、エマルジョンドロップ培養後の微生物DNA、人工培地によってエマルジョンドロップ培養した微生物DNA、である。これらのメタゲノム情報を情報処理することで、以下の事象を明らかにし、論文として発表する。①人工培地では増殖しない難培養性微生物であること、②環境中に存在する難培養性微生物の中で占める位置づけ、③培養可能となった難培養性微生物のゲノム情報・性質
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