研究課題
本研究費受給者は、ヒト培養細胞においてオーキシンデグロン技術を確立した。この方法は、オーキシンの添加により標的とする因子を特異的に、30分程度で分解することを可能とした。本研究の目的はこの技術をマウスES細胞に導入し、さらにはマウス個体への応用を目指すことである。細胞にこのシステムを導入するためには、OsTIRというユビキチンリガーゼの導入と対象とする因子にデグロンタグを導入する二段階の遺伝学的改変が必要である。H28年度はマウスES細胞のROSA26領域にOsTIR1を導入するためのドナーおよびCRISPRプラスミドを作成した。さらにエディンバラ大学のVoigt Philippと共同でマウスES細胞株E14TF2aに導入し、安定発現株を樹立した。今後は、内在性MCM2をターゲットにデグロンタグの導入を進める。また、マウスへのオーキシン投与を検討するため、ヌードマウスにすでに作成したHCT116バックグラウンドのオーキシンデグロン株(MCM2株)のゼノグラフト実験を準備開始した。
3: やや遅れている
H28年度は研究論文作成に時間がかかり、実際のタグ導入まで到達できなかった。しかしながら、今後の研究に必要な準備実験はほぼ予定通り遂行することができた。今後は樹立したOsTIR1発現mES細胞を材料に、CRISPRによる実際のタグ導入を行い、当初提案の研究を遂行する。
提案研究をそのまま遂行できると予想している。まずは樹立したOsTIR1株にタグを導入して、MCM2に対するデグロン株を樹立することを目指したい。さらに同時並行で、マウスへのオーキシン投与実験を行う。マウスに関しては、マウス実験のノウハウを持つ共同研究者と研究を行う。
研究実績の進歩状況で説明した通り、多少当初の計画より研究が遅れているため、実際の使用予算額が多少少なかった。
本年度は前年度の遅れを取り戻しつつ、予定通りの研究を行う。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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