研究課題
本研究では、腫瘍内低pH環境でpH応答性基が脱離することにより親水性から疎水性に変化する新規ポリマーを開発し、がん特異的なドラッグデリバリーシステムに応答する研究を行っている。初年度となる当該年度においては、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を利用して重合度が96-99、Mw/Mnが1.09-1.17で、側鎖アミノ基のpH応答性基による修飾率が2.5-10%のpH応答性基を有するPoly(N-isopropylacrylamide)(PNIPAAm)誘導体を合成した。異なるpHで下溶臨界共溶温度(LCST)の変化を測定したところ、側鎖修飾率が2.5および5%の場合にpH7.4からpH6への変化により親水性から疎水性に変化することが確認され、目的としていたポリマーの合成に成功した。また、RAFT試薬由来のチオール基を利用してポリマーの末端に蛍光色素(Alexa Fluor)を導入する条件を確立した。本ポリマーは、培養がん細胞を用いた評価へと利用する。
2: おおむね順調に進展している
当初計画に従って、新規メカニズムにより腫瘍内低pH環境に応答して親水性から疎水性に変化するPNIPAAm誘導体を合成することに成功した。予備試験では低pH環境に応用してポリマーの細胞内取り込み量が増大することも確認されており、当初計画を上回る進捗が得られている。
蛍光色素を導入したPNIPAAm誘導体のがん細胞との相互作用をフローサイトメトリーや共焦点レーザー顕微鏡を用いて評価する。また、光増感剤を導入したPNIPAAm誘導体を合成し、光線力学治療(PDT)へと応用する。さらに、これらのPNIPAAm誘導体のin vivo機能評価を実施する。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件) 備考 (1件)
J. Control. Release
巻: 254 ページ: 1-9
10.1016/j.jconrel.2017.03.036
J. Biomater. Sci. Polym. Ed.
巻: 28 ページ: 1109-1123
10.1080/09205063.2017.1301775
ChemMedChem
巻: 12 ページ: 19-22
10.1002/cmdc.201600488
Transl Oncol.
巻: 9 ページ: 203-210
10.1016/j.tranon.2016.03.007
Bioconjugate Chem.
巻: 27 ページ: 1961-1964
10.1021/acs.bioconjchem.6b00322
Nature Nanotech.
巻: 11 ページ: 724-730
10.1038/nnano.2016.72
ACS Nano
巻: 10 ページ: 5643-5655
10.1021/acsnano.6b00900
Cancer Sci.
巻: 107 ページ: 773-781
10.1111/cas.12926
巻: 107 ページ: 867-874
10.1111/cas.12960
http://www.bmw.res.titech.ac.jp