研究課題
本研究では、腫瘍内低pH環境で親水性から疎水性に変化することによってがん特異的な集積を示す機能性ポリマーの開発を行っている。前年度においては、RAFT重合を利用してpH応答性基を有するPoly(N-isopropylacrylamide)(PNIPAAm)誘導体を合成し、側鎖修飾率が2.5および5%の場合にpH7.4からpH6への変化により親水性から疎水性に変化することを確認した。そこで本年度は、Alexa標識ポリマーの培養がん細胞への取り込み量の変化を評価したところ、側鎖修飾率が2.5%のポリマーにおいてpH7.4からpH6への変化により7倍の細胞内取り込み量が確認された。さらに、Alexa標識ポリマーの担がんマウスへの全身投与を行った結果、がん組織への集積と長期滞留が確認された。また、このポリマーに光増感剤を導入し、がんの光戦力学治療へと展開し、pHに応答した光毒性を確認することができた。以上より、本研究では、当初計画に従って、新規メカニズムにより腫瘍内低pH環境に応答して親水性から疎水性に変化するPNIPAAm誘導体を合成することに成功し、低pH環境に応答したがん細胞による取り込み、担がんマウスにおける固形がん選択的な集積効果を確認することができた。本研究で開発したPNIPAAm誘導体は、固形がんのイメージングやPDTのみならず、DDSのシェル構築用ポリマーとしての応用が期待される。今後の研究の方策として、様々な疾患モデルの診断・治療へと展開する予定である。
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