研究課題
これまで、多くの疾患に酸化ストレスの関与が相次いで報告されている。しかし、酸化ストレスの原因である活性酸素の産生には、基質として還元物質あるいは電子が必要である。すなわち、酸化ストレス上昇には、過剰な還元物質が必要であり、生体内では還元ストレスが生じているはずである。事実、高血糖や肥満症などでは、NADHが上昇している。そこで本研究では、疾患における還元ストレスの関与という新たな概念を提唱するために、「還元ストレス検出プローブの開発とその評価」を目的とした。そのために本年度は、下記の点について検討した。1)酸化還元電位を制御した還元ストレス検出蛍光プローブ開発:昨年度までに開発したプローブの評価を行った。一方で、これら評価の際に新たに、還元および酸化ストレス両方に応答するプローブが開発可能であることを見出した。これは、化合物分子内に、金属分子による還元応答、および有機スピン分子による酸化応答に基づき設計されたものである。実際に、モデル実験系を用いて評価したところ、還元剤および酸化剤ともに反応することが分かった。2)培養細胞モデルを用いた実証実験前年度までに新たに開発した還元ストレス検出プローブを用いて、血清飢餓モデルで本プローブが有用であることを見出した。以上の結果より、還元ストレスという新たな概念に着目し、その検出技術開発とモデル実験系および細胞モデルで評価することが可能であった。今後、疾患モデル動物における評価の可能性について検討する予定である。
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