研究課題/領域番号 |
16K15112
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中山 勝文 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 准教授 (20453582)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | トロゴサイトーシス / 樹状細胞 / MHCクラスI |
研究実績の概要 |
トロゴサイトーシスとは2種類の異なる免疫細胞が接触した際にその接触面に形成される免疫シナプスを介して一方の細胞膜断片が相手側の細胞にダイナミックに移動するという現象である。本研究において我々は樹状細胞(DC)がアポトーシスT細胞からMHCクラスI分子(MHCI)を含む膜断片を速やかに引き抜くことを見出したため、その生理的意義と分子機構の解明を進めている。本年度では、始めにBalb/cマウス(H-2Kd)脾臓DCをB6マウス(H-2Kb)由来アポトーシスT細胞と培養すると、そのDCはわずか数分でH-2Kb陽性となったため、このドレス化MHCIの抗原提示能を解析した。具体的には、このH-2Kb ドレス化DCに卵白アルブミンペプチドOVA257-264を添加し、OT-I CD8+ T細胞の細胞増殖をin vitroで測定した結果、そのCD8+ T細胞の顕著な細胞増殖が認められた。次にDCのMHCIドレス化についてマウス脾臓CD8alpha+ DCとCD8alpha- DC間で比較すると有意な差が見られず、さらにホスファチジルセリン(PS)受容体のTim-3遺伝子欠損CD8alpha+ DCと野生型マウスCD8alpha+ DCとの間においてもその有意な差が見られなかったことから、トロゴサイトーシス機構にPSの関与は小さいことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度においてDCはPS受容体以外の受容体を介してアポトーシス細胞からMHCIを含む細胞膜断片を引き抜き、そのMHCIを用いて抗原提示を行うことを明らかに出来た。しかしながら、その分子機構の解明に取り組むことが出来なかったため、予定よりやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
DCによるMHCIトロゴサイトーシス分子機構の解明に向けて、そのDC受容体の遺伝子スクリーニングを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度計画していたスクリーニング系の構築に難航し、細胞生物学実験および分子生物学実験の一部を次年度に延期することになったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に実施する細胞生物学実験および分子生物学実験に必要な経費として、平成29年度申請額を合わせて物品費として使用する。
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