28年度同定したuORF13タンパク質(以下、uORF13p)がもつ細胞内機能を理解する手がかりを得るために、29年度では、全長70アミノ酸からなるuORF13p上に機能性モチーフを探すことを試みた。以下のようなuORF13p変異体を作成した:(1)N末端5アミノ酸を欠損した変異体、(2)LYRモチーフをアラニンに置換した変異体、(3)連続した2アミノ酸を共にアラニンに置換した変異体。 まずはこれら変異体のFLAG融合体をHeLa細胞内で発現させ、抗FLAG抗体で免疫染色観察したところ、すべての変異体が野生型uORF13pと同様にミトコンドリアに局在することが明らかになった。 そこで次に、これら変異体過剰発現による、ミトコンドリア膜電位差への影響を調べたところ、野生型では僅かではあるが有為に低下した膜電位差が、LYRモチーフへのアラニン置換によって解消されていた。一方、62番目のロイシンと63番目のアスパラギンを共にAに置換した変異体(uORF13p_LN_AA)を細胞内で発現させた場合は、野生型の過剰発現の時よりも大きく膜電位差を低下させた。以上のように、LYRモチーフとLNモチーフへのアラニン置換は逆の効果をもたらすことから、これら2つのモチーフ部位はぞれぞれ異なる機能を担っていることが示唆された。それぞれのモチーフには、異なる別のタンパク質が相互作用していることが予想される。今後は、それら相互作用タンパク質の同定を通して、uORF13pが関わる細胞内機能の理解を目指す。
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