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2016 年度 実施状況報告書

哺乳類細胞に潜在する未知DNA修復反応の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16K15118
研究機関金沢大学

研究代表者

松永 司  金沢大学, 薬学系, 教授 (60192340)

研究分担者 若杉 光生  金沢大学, 薬学系, 助教 (80345595)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2018-03-31
キーワードヌクレオチド除去修復 / 紫外線 / DNA損傷 / 色素性乾皮症
研究実績の概要

我々は、ヒト細胞において紫外線誘発DNA損傷がヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair; NER)欠損下でもゲノムからゆっくり消失することを見つけ、NERのバックアップ機構が存在する可能性を示唆している。本研究では、この修復反応に関わる因子を同定し、この反応メカニズムを解明することを目的としている。
これまでの解析から、この修復現象にはp53およびユビキチン・プロテアソーム系の関与が示唆されていたが、初年度はこの点をさらに詳しく解析するとともに、p53の下流のNER因子であるDDB2とXPCの関わりについても各種阻害剤やsiRNAを用いて詳細に調べた。まず、p53リン酸化Ser15抗体を用いてp53の活性化をモニターしたところ、NER欠損下で修復現象が見られる時間帯に著しいリン酸化が観察され、このリン酸化はNERが正常なヒト細胞では見られないこと、またプロテアソーム阻害剤の処理で完全に抑制されることを明らかにした。一方、DDB2とXPCの関与については、siRNAを用いたノックダウン実験から少なくともXPCの関与が示され、またこのXPCが修復反応過程でプロテアソーム依存的に分解される可能性も示唆した。XPCはDNA損傷認識を担うNERの初期因子であり、DNA損傷に結合した状態でその後のNER過程が進行しないと、何らかの仕組みでXPCが分解されてDNA損傷が除去されるモデルが考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画はすべて実行され、未知の修復反応にp53、XPC、プロテアソームが関与することを明確に示して、各々の関係性についてもモデルとして提起することができた。このユビキチン・プロテアソーム系で働くE3リガーゼの候補も得られており、申請時の計画どおりかそれ以上の進展があったと判断した。

今後の研究の推進方策

今後は、初年度に提起したモデルをさらに検証しつつ、DNA損傷の除去を担うエンドヌクレアーゼの同定やその後の反応についても明らかにしていきたい。また、申請時に計画されているとおり、NERをバックアップするこの仕組みがどのような生物学的役割を持っているのか、この反応に特異的な因子を見つけ、ゲノム編集等で欠損させることで、NERとの関係性も含めて検討して予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Rapid G0/1 transition and cell cycle progression in CD8+ T Cells compared to CD4+ T Cells following in vitro stimulation2017

    • 著者名/発表者名
      Mishima, T., Fukaya, S., Toda, S., Ando, Y., Matsunaga, T. and Inobe, M.
    • 雑誌名

      Microbiology and Immunology

      巻: In press ページ: -

    • DOI

      10.1111/1348-0421.12479

    • 査読あり
  • [学会発表] DNA修復因子の細胞内安定性を制御する機構の解析2017

    • 著者名/発表者名
      上田将信、大澤琢郎、小田桐周平、福島直紀、西永真理、若杉光生、松永 司
    • 学会等名
      日本薬学会第137回年会
    • 発表場所
      仙台国際センター(仙台市)
    • 年月日
      2017-03-25 – 2017-03-27
  • [学会発表] NER依存的な二次的DNA損傷生成におけるEXO1の関与の検討2017

    • 著者名/発表者名
      田中秀樹、石井利実、若杉光生、松永 司
    • 学会等名
      日本薬学会第137回年会
    • 発表場所
      仙台国際センター(仙台市)
    • 年月日
      2017-03-25 – 2017-03-27
  • [学会発表] NER阻害化合物A6のERCC1-XPF分解誘導メカニズムの解析2016

    • 著者名/発表者名
      小田桐周平、三島観知、若杉光生、上田将信、川原弘明、西永真理、河合秀彦、長田裕之、松永 司
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [学会発表] ヌクレオチド除去修復欠損細胞で見られる紫外線誘発DNA損傷の消失2016

    • 著者名/発表者名
      岩崎真波、須田愛子、本田愛美、若杉光生、松永 司
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [学会発表] ヌクレオチド除去修復阻害剤の作用機序に関する解析2016

    • 著者名/発表者名
      大澤琢郎、小田桐周平、上田将信、西永真理、若杉光生、松永 司
    • 学会等名
      日本薬学会北陸支部第128回例会
    • 発表場所
      北陸大学(金沢市)
    • 年月日
      2016-11-27 – 2016-11-27
  • [学会発表] 新しい紫外線DNA損傷解析系とケミカルバイオロジーを利用したヌクレオチド除去修復研究2016

    • 著者名/発表者名
      松永 司
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第59回大会
    • 発表場所
      JMSアステールプラザ(広島市)
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
    • 招待講演
  • [学会発表] マウス皮膚におけるヌクレオチド除去修復に依存した二次的DNA損傷の生成と応答反応2016

    • 著者名/発表者名
      堀田侑希、若杉光生、善岡克次、田中亀代次、松永 司
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第59回大会
    • 発表場所
      JMSアステールプラザ(広島市)
    • 年月日
      2016-10-26 – 2016-10-28
  • [図書] 光と生命の事典2017

    • 著者名/発表者名
      日本光生物学協会 光と生命の事典 編集委員会 編
    • 総ページ数
      436
    • 出版者
      朝倉書店
  • [備考] 松永研究室|遺伝情報制御学

    • URL

      http://www.p.kanazawa-u.ac.jp/~iden/index.html

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公開日: 2018-01-16  

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