研究課題
本研究では、我々が見出したヌクレオチド除去修復(nucleotide excision repair; NER)欠損下における紫外線誘発DNA損傷の修復現象について、そのメカニズムの解明を目的としている。初年度の解析から、この反応にはNERの損傷認識因子であるXPCが必要であること、またこの反応過程でXPCはユビキチン・プロテアソーム依存的に分解される可能性が示された。一方、この修復反応と同時期にがん抑制遺伝子産物p53のリン酸化が生じていることもわかったが、その原因や役割については不明であった。今年度は、主に両者の関係性に注目して解析を行った。まず、p53リン酸化の引き金となる原因を推測する目的で、DNA損傷応答ネットワークで重要な働きをもつ3種類のPIKKの阻害剤を用いてプロテインキナーゼの同定を試みたところ、ATMとATRの両方が関与することが示唆された。次に、NERを欠損した色素性乾皮症相補性A群(XP-A)患者由来細胞でsiRNAによりXPCをノックダウンして紫外線照射後のp53のリン酸化を調べたところ、通常と変わらない(もしくはそれより早い)リン酸化が観察された。また、XP-A患者由来細胞のp53をノックダウンしてもNER非依存的な修復が見られたため、p53のリン酸化反応が今回の修復現象に直接関与する可能性は低いと考えられた。一方、この未知の修復反応に他のNER因子が関与するかについても調べ、XPBとERCC1-XPFの関与が示唆された。
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Scientific Reports
巻: 7 ページ: 13808
10.1038/s41598-017-13695-4
http://www.p.kanazawa-u.ac.jp/~iden/