研究課題/領域番号 |
16K15129
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三澤 日出巳 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (80219617)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アセチルコリン / 迷走神経 / 抗炎症反射 / 脾臓 / 腸管免疫 |
研究実績の概要 |
初年度は、ラット頸部迷走神経に慢性電極を埋め込み、1ヶ月以上の連日刺激が可能となる刺激電極と手術方法の検討を行った。刺激の成否は心拍数をモニターし、迷走神経刺激により20%の心拍数低下が認められた場合を成功とした。電極の作製は国立循環器病研究センター研究所の循環動態制御部で開発された方法を参考とした。オリジナル電極はコイル部と接続部に脆弱な部分を認め、およそ2週間で使用不能となった。このため、コイル部のピッチの再調整(従来よりもピッチ幅を狭める)と銅線部の素材(銀メッキとフッ素コーティングに変更)の再検討を行った。また、ハンダ接続部(シリコン樹脂によるコーティング)は体液の浸入による腐食が見られたため、より強固なエポキシ樹脂およびシリコン樹脂による二重コーティングを行った。また、カフ内の迷走神経と電極との接触部では、接点の面積を増やすためにステンレス線を折り畳み、さらに正負電極間の距離を短くする形状に工夫・変更した。その結果、1ヶ月以上の連日刺激に耐える電極の作製(最長は2.5ヶ月)に成功した。また、麻酔方法(ウレタン麻酔からドミトール+ミダゾラム+ベトルファールの三種混合麻酔に変更)や手術手技の洗練化に努め、安定して迅速に慢性VNS刺激モデルラットの作製が可能となった。このモデルを用いて、腸内細菌叢の変化、薬剤誘発性腸炎モデルへの反応性変化、血液脳関門の変化、実験的脳炎への反応性変化、などを調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究計画の肝である迷走神経慢性刺激ラットの作製に手間取っていたが、様々な条件(器具、材料、手技など)を綿密に再検討することで、ほぼ満足いく実験条件に到達することができた。さらにこの過程で、今後の実験に重要な様々なノウハウを蓄積できた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に従い、これまでに確立できた迷走神経慢性刺激ラットを用い、実験的敗血症、皮膚や腸管の炎症モデルなどを作製した際の抗炎症作用のメカニズムやその責任分子の探索を行う。
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