研究課題/領域番号 |
16K15130
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
桑山 秀一 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (40397659)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ガン抑制遺伝子 / 細胞性粘菌 |
研究実績の概要 |
1981年以降、先進国における死亡原因の第一位はガンであり、現在日本では人口の約30%がガンにより死亡している。ガン治療薬の開発は精力的に進められてきたにも関わらず、ガン細胞のみを特異的に死滅させる根本的治療薬の開発には依然として成功していない。本研究代表者たちは最近、微生物由来のリボソームタンパク質様遺伝子産物が、ガン細胞特異的に細胞死誘導を起こすことを発見した。本研究では、この遺伝子産物のガン細胞におけるターゲット分子を同定し、ガン細胞を特異的に死滅させる分子メカニズムを検証する。これにより、新規ガン細胞死誘導経路を解析し、この遺伝子産物の新規ガン治療薬としての潜在能力を追求する。本研究では、1)DdMRP4のガン細胞増殖抑制に機能するドメインの同定と2)DdMRP4遺伝子産物の標的分子を同定することにより、増殖抑制の作用機序の解明を行うことを目標とした。 本研究では、まずDdMRP4と相互作用する遺伝子産物をY2H法によりスクリーニングを行った。本研究における相互作用検出系は効率・感度が共に高い市販のキット(Takara-Clonetech社のMatchmaker Gold酵母ツーハイブリッド(Y2H)システム)を使用し、相互作用が認められる候補クローンだけが選択培地上に生育する系で効率よく相互作用クローンを選別した。ガン培養細胞から調製された遺伝子ライブラリーを利用し、6つのポジティブクローンを選別した。擬似陽性クローンが予想されたが、分離されたクローンの検定は相互作用の検出強度をより厳しくして再度行い、最終的に4つの独立した遺伝子が分離された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、細胞性粘菌由来の新規がん抑制遺伝子の相互作用分子の同定を初年度一番の目標としていた。その目標に対して、これまでに酵母ツーハイブリッド法により4つの非重複遺伝子の単離に成功し、それらのガン抑制に対する効果を検証する段階に進むことができた。よって本研究の課題の進歩状況はおおむね順調に進展していると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は当初予定していたタンパク質レベルでの相互作用の検証と相互作用遺伝子の機能予測、機能の生物学的解析を行うことを目標に、相互作用候補遺伝子リコンビナントタンパク質を作製し、DdMRP4リコンビナントタンパク質とin vitroでの相互作用を検証したり、遺伝子機能に関するデータベースを利用しBlast検索等により、どのような細胞機能に関連づけられているかを調査したり、ガン培養細胞においてRNAiやゲノム編集技術により相互作用遺伝子をknock-downやknock-out、あるいは相互作用遺伝子を過剰発現させることにより、ガン培養細胞にどのような影響があるかをDdMRP4による細胞死に関する感受性を軸に検討する。
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