本研究では新たな核内受容体活性化の指標として、ヘテロダイマー活性化という点に着目して、リガンドポケットの無い核内受容体の活性化制御をおこなうことを目的として研究を進めている。本年度は本課題関連研究についての研究成果発表とスクリーニングデータの総まとめをおこなった。当初の研究計画では、昨年度までであったところ所属機関の異動があったため、研究成果発表と総まとめをおこなう時間を取ることが難しく、研究機関の延長をおこなっった。したがって、具体的な研究結果の大きな進展があるわけではないが、日本生薬学会第65回年会(広島)においてポスタープレゼンテーションにより研究成果の発表をおこなった。また、これまでの研究成果とあわせて、ヘテロダイマー活性化という点において、多く市販されている核内受容体RXRの合成アゴニストについても、NR4A2とのヘテロダイマー活性化には選択性があることがわかり、基準とするポジティブコントロールとなる試薬の選び方も重要であることがわかった。これまでの単独のRXRを中心としたスクリーニングで発見してきたコウボクやサンズコンなどにも同様の活性が認められたが、その方法では発見できなかった生薬エキスにヘテロダイマー活性化作用が今回新たに見出せたことが重要である。本研究で作製したヘテロダイマー活性化スクリーニングシステムは、リガンドポケットを持たない核内受容体がRXRリガンド依存的に転写因子として活性化しているかを判断することができることを示すことができ、今後のリガンド探索に有用なツールとなると考えられる。
|