研究課題/領域番号 |
16K15141
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
門之園 哲哉 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (10510282)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 中分子創薬 / 足場天然ペプチド / 構造ゆらぎ / イン・シリコ・スクリーニング / HER2結合ペプチド |
研究実績の概要 |
当該年度においては、イン・シリコ・スクリーニングによって標的結合ペプチドの「構造ゆらぎ」を制御するための天然足場ペプチドを探索した。Protein Data Bankに登録されている天然ペプチドの構造情報を用いて、①天然構造のゆらぎ、②全ループの溶媒への露出度、③モデルペプチドを組み込んだ際の構造ゆらぎ抑制効果をMDシミュレーションにより評価した。その結果、どのようなアミノ酸配列を持つペプチドであっても「構造ゆらぎ」を抑制できる天然足場ペプチドの同定に成功した。次に、乳がんマーカーHER2に結合するペプチドを同定した足場ペプチドに組み込んだところ、予想通り、「構造ゆらぎ」が抑制されることが分かった。さらにこの中分子ペプチドは精製HER2に結合することを確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、①組み込んだペプチドの「構造ゆらぎ」を制御できる天然足場ペプチドを探索し、②標的結合ペプチドを組み込んだ中分子ペプチドの結合力評価によりペプチド創製理論を確立し、③抗体代替分子としての有用性を示すことを目的としている。現在までに、天然足場ペプチドを同定し、標的結合性を有する中分子ペプチドの創製に成功しており、順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
創製した中分子ペプチドの詳細な結合力評価を行う。 足場ペプチドに組み込むHER2結合ペプチドを最適化し、より結合力の強い中分子ペプチドを創出する。 抗体代替分子としての性能を評価するため、得られた中分子ペプチドを用いてHER2発現がん細胞への結合評価、皮下腫瘍への集積性を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であった超低温フリーザーの購入が必要なくなったため、その分が次年度繰越額として生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度では多くの動物実験を予定しており、それらに必要な維持費と消耗品費として利用する。
|